の概日リズムに対する細胞老化の影響を明らかにするため、正常および老化 ARPE-19 細胞を


体温リズムの模倣による時計遺伝子の応答
(A) 温度リズム下で5日間培養後のU2OS細胞およびヒトiPS細胞、マウス胚線維芽細胞(MEF)の時計遺伝子発現レベル。0~12時間が33℃、12~48時間が37℃の温度リズムで培養。ヒトiPS細胞でもの発現に概日様リズムがみられる。(B) 温度リズムで培養後の多能性評価。温度リズムで培養しても多能性に変化はみられない。
(Kaneko , (2020) より引用)


*2 概日リズム:おおよそ一日周期のリズムのこと。細胞内で時計遺伝子 ..

末梢器官の概日時計は、代謝の合図によって設定される。Lamiaら(Bassによる解説記事も参照)は、概日時計が代謝を調節するかどうかについて検討し、概日時計の構成成分であるクリプトクロムタンパク質のCry1とCry2が、グルココルチコイド受容体などのさまざまな核内ホルモン受容体と相互作用することを見出した。Cry1のグルココルチコイド受容体との相互作用は、合成グルココルチコイドであるデキサメタゾンによって増強され、グルココルチコイド受容体のルシフェラーゼレポーター遺伝子に対する転写活性化能を低下させた。野生型マウスの線維芽細胞と比べて、両クリプトクロムを欠損するマウス(cry1-/-;cry2-/-)の線維芽細胞をデキサメタゾン処理すると、転写抑制される遺伝子の数が減少し、転写活性化される遺伝子が増加し、特定の標的遺伝子(sgk1、血清/グルココルチコイド調節キナーゼ1をコードする)の転写活性化の程度が増大した。夜間には、糖新生酵素ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ1をコードする遺伝子pck1の発現を誘導するグルココルチコイドの効果が低下しており、デキサメタゾン処理後の夜間には、pck1プロモーター内のグルココルチコイド応答配列へのCry1やCry2の結合が増加した。さらに、デキサメタゾンによって引き起こされるpck1の発現誘導は、cry1-/-;cry2-/-マウスの肝臓において、野生型マウスの肝臓と比べて増加した。cry1-/-;cry2-/-マウスでは、野生型マウスと比べて、長期デキサメタゾン処理による内因性コルチコステロン産生抑制の程度が小さかったことから、クリプトクロムが、グルココルチコイド合成を抑制するネガティブフィードバックに関与することが示唆される。また、長期デキサメタゾン処理によって、cry1-/-;cry2-/-マウスでは野生型マウスと比べて、より顕著な空腹時高血糖と耐糖能異常も誘発された。このように、クリプトクロムは、グルココルチコイド受容体を介する転写を抑制することによって、グルコース代謝を抑制する。

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[PDF] 時計遺伝子 PER2 の概日時計機能に関する研究

概日リズム性の判定には Metacycle を用いた。転写因子結合モチーフ

[PDF] 時計遺伝子の転写制御機構とその生理的意義に関する研究 山宿 大介