[PDF] デキサメタゾン COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け


●免疫抑制・調整薬(ステロイド〈デキサメタゾン〉、バリシチニブ、トシリズマブ)……中等症以上に用いられます。サイトカインストームを抑制する目的で用いられます。


2)サイトカインストームは、遺伝子の転写因子である NF-κB と STAT3 の協調作用 ..

新型コロナ感染症の軽症・中等症向けに開発された抗体カクテル療法に用いるカシリビマブとイムデビマブ、ソトロビマブに加え、既存薬の転用も進み、中等症・重症にはエボラ出血熱の治療薬であるレムデシビル、酸素投与が必要な中等症・重症には重症感染症や間質性肺炎などの治療薬であるステロイド剤のデキサメタゾン、JAK阻害薬(免疫の過剰反応サイトカインストームを抑制する)バリシチニブが国内で承認。

サイトカインストームと小児疾患
金兼弘和 /東京医科歯科大学小児地域成育医療学講座

最近サイトカインストームという言葉を聞くことが増えたのではないだろうか.サイトカインストームとは血中に炎症性サイトカインが放出され,悪心,悪寒,倦怠感,頭痛,発熱,頻脈,血圧低下などの多彩な症状を起こす現象であり,ときに致死的となる.検査値の異常として血球減少,炎症反応,肝機能や腎機能障害などを示す.様々な疾患に伴い発症するが,小児疾患においてもまれならずサイトカインストームを合併する.昨今は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主たる病態としてサイトカインストームがより注目されている.
本稿ではまずサイトカインストームの基礎的理解のために,まずサイトカインとは何かを学び,サイトカインストームの概念,サイトカインストームにおける臨床像と一般検査値,サイトカインの測定方法についてそれぞれ解説する.この章からサイトカインストームの理解を深め,診断法についても学んでもらいたい.
次にサイトカインストームがかかわる様々な小児疾患を取り上げる.家族性血球貪食性リンパ組織球症(familial hemophagocytic lymphohistiocytosis:FHL)としても知られる一次性HLHと様々な二次性HLHの病態について解説する.まずは現在も世界中でパンデミック感染をきたしているCOVID-19を取り上げ,サイトカインストームからその病態を理解する.EBウイルス関連を中心とする様々なウイルス関連HLH,リウマチ性疾患に伴うサイトカインストームとしてのマクロファージ活性化症候群,自然免疫系の異常を伴う自己炎症性疾患について解説する.COVID-19に関連して小児多系統炎症症候群(MIS-C)が昨今注目されており,川崎病との異同が議論されている.悪性リンパ腫などの悪性腫瘍に関連するHLHに加えて,難治性がんに対する新しい治療として注目されているCAR-T療法ではサイトカインストームは必発である.さらに神経疾患とサイトカインストームに関する知見についても解説する.
サイトカインストームに対する基本的治療はデキサメタゾン,エトポシド,シクロスポリンAによる免疫化学療法であるが,それ以外の免疫抑制薬も使用され,サルベージ療法としての造血細胞移植についても解説する.サイトカインストームにおいてキーとなるサイトカインの働きを直接阻害するような生物製剤や分子標的薬も近年数多く開発され,病態に応じて使い分けることによって,優れた治療効果が期待される.
本号を一読することによって,サイトカインストームがかかわる様々な小児疾患を理解することの助けとなり,治療成績の向上に期待し,特集を組んだ.明日からの診療に役立つことを祈念する.

COVID-19重症者における中和抗体およびサイトカイン産生量の解析

非投与群40.7%)。これらの結果から、世界保健機構(WHO)も重症の患者さんではステロイド投与を強く推奨するようになったのです。 2) トシリズマブ(アクテムラ®)サイトカインストームで中心的な役割を果たすのは、「インターロイキン6(IL-6)」というサイトカインであることが次第に明らかになりました。そしてそのIL-6を抑える薬剤がトシリズマブ(商品名:アクテムラ®)です。この薬剤は日本で開発され、もともと関節リウマチやキャッスルマン病の治療に用いられていました。2021年にイギリスから報告された臨床試験では、酸素療法を要する4,116人の参加者において、トシリズマブ投与群のほうがしなかった群に比較して有意に死亡率が低かったのです(投与群29% vs.

非投与群33%)。大半の患者さんでは、ステロイドも投与されていることから、トシリズマブはステロイドに上乗せして投与することによって治療成績改善が期待できると考えられています。 重症化のリスク因子それではどのような人が重症化しやすいのでしょうか。現在判明しているものとして、高齢者(65歳以上)、悪性腫瘍、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、慢性腎臓病、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙、固形臓器移植後、妊娠後期などがあります。ただし、それだけでは説明できない部分もあり、遺伝子解析なども含めて現在も世界中で研究が進められています、 [参考資料]新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き(第5.2版)Horby P et al., Dexamethasone in hospitalized patients with Covid-19 – Preliminary Report.

*: 又は相当量(経口投与を含む)。高用量ステロイド投与による副作用を軽減するために、治験責任医師の評価に基づ

糖質コルチコイド(Glucocorticoid、グルココルチコイド)の薬は炎症や自己免疫疾患を治療するため広く処方されており、最近ではCOVID-19(SARSコロナウイルス2型感染症)の重症患者の治療にも用いられている。COVID-19は、発熱や息切れなどの症状から、多臓器不全などの重い合併症への急速に進行する。重症患者は「サイトカインストーム」(cytokine storm)を経験するが、このときにはもはやコロナウイルスに対する炎症反応を抑えることはできず、サイトカイン(炎症の分子メッセンジャー)の異常な産生がさらなる合併症を引き起こしてしまう。臨床試験では、糖質コルチコイド受容体に結合する強力な抗炎症薬であるデキサメタゾン(dexamethasone)を低用量で投与することにより、COVID-19入院患者の死亡率が低下したことが示されている。

死亡率低下で“治せる病気”に…既存のステロイド薬投与で治療の効果