デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏0.1%「MYK」の基本情報
18.1作用機序
炎症の初発反応においてはアラキドン酸が生成され、さらに炎症関与物質のプロスタグランジンやロイコトリエン等が生成される。このアラキドン酸生成に関わる酵素(ホスホリパーゼA2)を阻害するのが特異性蛋白リポコルチンであり、コルチコステロイドはこのリポコルチンを生成させることにより、抗炎症作用を発現するものと考えられている。18.2抗炎症作用
デキサメタゾンプロピオン酸エステルは毛細血管透過性亢進(ラット)を抑制し、カラゲニン足蹠浮腫(ラット)、カラゲニン肉芽のう(ラット)、ろ紙肉芽腫(ラット)実験炎症モデルに対して消炎作用を示した。また、塩化ピクリル誘発遅延型アレルギー性皮膚炎(マウス)及びクロトン油誘発皮膚炎(ラット、マウス)に対しても耳朶皮膚反応抑制作用を示した。18.3血管収縮作用
健康成人男子を対象とした血管収縮試験の結果、ベタメタゾン吉草酸エステルに比して優れ、また、ベタメタゾンジプロピオン酸エステルに比して同等以上の血管収縮作用が認められた。18.4薬理作用
デキサメタゾンプロピオン酸エステルクリーム0.1%「日医工」は、ラットを用いたヒスタミン血管透過性亢進抑制試験、カラゲニン足蹠浮腫抑制試験、クロトン油耳浮腫抑制試験において、メサデルムクリーム0.1%との効力比較の結果、両剤間に有意差は認められなかった。また、デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏0.1%「日医工」及びメサデルム軟膏0.1%について同様の試験を行った結果、同様の結果が得られた。
11、12、16)その使用実績における副作用として、デキサメタゾンを直接的原因とする ..
17.1有効性及び安全性に関する試験
17.1.1国内臨床試験全国延べ235施設において実施されたデキサメタゾンプロピオン酸エステルクリーム0.1%・軟膏0.1%の二重盲検比較又は比較臨床試験を含む臨床試験を集計した結果、効果判定可能症例は2488例で、有効率は85.7%(2131/2488例)であった。疾患別有効率は次のとおりであった。
--------------------------表開始--------------------------疾患有効率
湿疹・皮膚炎群92.6%(718/775)痒疹群87.1%(88/101)
虫さされ98.0%(49/50)薬疹・中毒疹98.0%(49/50)
乾癬86.5%(391/452)掌蹠膿疱症84.7%(50/59)
扁平紅色苔癬78.3%(36/46)紅皮症91.1%(51/56)
慢性円板状エリテマトーデス75.6%(31/41)紅斑症94.8%(110/116)
毛孔性紅色粃糠疹76.7%(33/43)特発性色素性紫斑80.8%(122/151)
肥厚性瘢痕・ケロイド65.6%(80/122)肉芽腫症71.4%(50/70)
悪性リンパ腫63.0%(51/81)皮膚アミロイドーシス(アミロイド苔癬、斑状アミロイドージスを含む)87.4%(61/72)
水疱性疾患(天疱瘡群、家族性良性慢性天疱瘡、類天疱瘡を含む)87.2%(130/149)円形脱毛症57.4%(31/54)
--------------------------表終了--------------------------本剤の副作用評価可能症例は2535例であり、副作用発現率は3.7%(94/2535例)であった。主な副作用はステロイド潮紅・毛細血管拡張1.4%(35/2535例)、毛包炎・せつ1.1%(29/2535例)、皮膚萎縮0.6%(16/2535例)、ざ瘡様発疹0.6%(15/2535例)であった。
17.1.2国内多施設共同比較試験湿疹・皮膚炎、痒疹、尋常性乾癬、紅皮症(各試験89例~342例)を対象として、体部に左右対称性に存在する典型的な皮疹について、左右の病巣のそれぞれにデキサメタゾンプロピオン酸エステル0.1%又は対照薬(0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル等の既存の同種同効ステロイド外用剤)を1日2~3回、3週間(湿潤型湿疹皮膚炎では1週間)、単純塗布し、全般改善度、副作用及び有用性を比較した5つの国内多施設共同無作為化比較対照試験の結果、いずれの試験においても有用性が認められた。本剤の副作用評価可能症例は856例であり、副作用発現率は1.8%(15/856例)であった。
18.1作用機序
デキサメタゾンは合成副腎皮質ホルモンで、天然の糖質コルチコイドと同じ機序により抗炎症作用を発現するが、天然のものに比べて鉱質コルチコイド作用は減弱されている。18.2局所抗炎症作用・皮膚血管収縮作用
デキサメタゾンはヒドロコルチゾアセテート、プレドニゾロンアセテートと同等の血管収縮作用を示すことが認められている。18.3生物学的同等性試験
ラット(n=10)にデキサメタゾン軟膏0.1%「イワキ」及びオルガドロン軟膏0.1%注)を塗布し、カラゲニン足蹠浮腫抑制作用及び綿球法による肉芽形成抑制作用を、浮腫抑制率及び肉芽形成抑制率を指標に検討した結果、両剤の生物学的同等性が確認された。また、デキサメタゾンクリーム0.1%「イワキ」及びデキサメタゾンローション0.1%「イワキ」においては、オルガドロンクリーム0.1%注)との同等性が確認された旧処方製剤に対して同様の試験を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
ラットに対する薬剤5日間塗布後の足蹠浮腫抑制率(%)--------------------------表開始--------------------------
製剤\起炎剤注射後時間(hr)12345デキサメタゾン軟膏0.1%「イワキ」77.4389.4786.8184.7184.53
デキサメタゾンクリーム0.1%「イワキ」82.2577.7165.1563.3066.90デキサメタゾンローション0.1%「イワキ」93.8374.9769.9768.5369.12
--------------------------表終了--------------------------肉芽形成抑制率(%)
--------------------------表開始--------------------------デキサメタゾン軟膏0.1%「イワキ」61.35
デキサメタゾンクリーム0.1%「イワキ」45.76デキサメタゾンローション0.1%「イワキ」48.68
--------------------------表終了--------------------------浮腫抑制率、肉芽形成抑制率等の測定値は、試験条件によって異なる可能性がある。
注)オルガドロン軟膏0.1%、オルガドロンクリーム0.1%は承認整理済である。
0.1%「日医工」(一般名:デキサメタゾンプロピオン酸エステル軟膏)の効能・副作用 ..
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の爆発的な感染拡大を受けて、世界各国で様々な治療薬の開発が進められています。
そうしたなか、国内でも長い間用いられてきた「デキサメタゾン」が、英国の試験において認証され、新型コロナウイルス感染症に対する承認済み治療薬として位置づけられたことで話題をよんでいます。
ただし, 薬理作用と副作用の分離は十分ではない。 人体の生理的な副腎皮質 ..
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.重大な副作用11.1.1.緑内障、後のう白内障(頻度不明):眼瞼皮膚への使用に際しては眼圧亢進、緑内障を起こすことがある。大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、後のう白内障、緑内障等があらわれることがある〔8.重要な基本的注意の項参照〕。
11.2.その他の副作用1).皮膚感染症:(0.1~5%未満)皮膚真菌性感染症(皮膚カンジダ症、皮膚白癬等)、皮膚細菌性感染症(伝染性膿痂疹、毛のう炎等)<密封法(ODT)の場合に起こりやすい>[処置:適切な抗真菌剤、抗菌剤等を併用し、症状がすみやかに改善しない場合には使用を中止すること]。
2).その他の皮膚症状:(0.1~5%未満)<長期連用により>ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑)、ステロイドざ瘡、(0.1%未満)<長期連用により>皮膚色素脱失、(頻度不明)<長期連用により>ステロイド酒さ・口囲皮膚炎(ほほに潮紅、口囲潮紅等、丘疹、膿疱、毛細血管拡張を生じる)、魚鱗癬様皮膚変化、多毛[処置:前記症状があらわれた場合には徐々にその使用を差しひかえ、副腎皮質ステロイドを含有しない薬剤に切り替えること]、(0.1~5%未満)接触皮膚炎、皮膚そう痒。3).過敏症:(0.1~5%未満)皮膚刺激感、(頻度不明)発疹。
4).下垂体・副腎皮質系機能:(頻度不明)<大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により>下垂体・副腎皮質系機能抑制。
合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)のひとつであるデキサメタゾン(商品名:デカドロン®)は、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用などの作用を有することが知られています。重症感染症を含めた種々の適応症を有しており、1960年代から現在に至るまで、様々な疾患に対して汎用されてきた薬剤です。
ヒト用医薬品としても広範囲の病気の治療のために使われている。この幅広い領域
厚生労働省は2020年7月17日付けで、(※)を改訂し、デキサメタゾンを新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として記載しました。手引きでは、英国の非盲検ランダム化比較試験「RECOVERY」の結果で、デキサメタゾンが重症例の死亡を減少させたという結果が紹介されています。
新型コロナウイルス感染症の重症患者では、肺障害および多臓器不全をもたらす全身性炎症反応を発現することが確認されています。ステロイドは抗炎症作用を有するため、デキサメタゾンにはこれらの有害な炎症反応を予防または抑制する可能性が示唆されており、前述の試験によって効果が裏付けられました。
リポソーム化デキサメタゾンの動脈硬化マウスにおける体内動態と薬理効果の関係
デキサメタゾンは副腎皮質ホルモン製剤であるため、効果・効能は多岐にわたります。具体例としては、慢性副腎皮質機能不全、関節リウマチ、エリテマトーデス、うっ血性心不全、気管支喘息、悪性リンパ腫、重症感染症などがあげられます。詳細については、添付文書を確認するようにしてください。
[PDF] COVID-19に対する薬物治療の考え方 第14版
(禁忌)
2.1.細菌皮膚感染症・真菌皮膚感染症・スピロヘータ皮膚感染症・ウイルス皮膚感染症[免疫を抑制し、感染症が悪化するおそれがある]。2.2.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.3.鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある]。2.4.潰瘍<ベーチェット病は除く>、第2度深在性以上の熱傷・第2度深在性以上の凍傷[組織修復・肉芽形成を抑制し、治癒が遅延するおそれがある]。
(重要な基本的注意)大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用により、副腎皮質ステロイド剤を全身的投与した場合と同様な症状があらわれることがある〔9.5妊婦、9.7小児等、9.8高齢者の項、11.1.1参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること〔8.重要な基本的注意の項参照〕。(小児等)
長期・大量使用又は密封法(ODT)により、発育障害をきたすおそれがある。また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること〔8.重要な基本的注意の項参照〕。(高齢者)
大量又は長期にわたる広範囲の密封法(ODT)等の使用に際しては注意すること(一般に高齢者では副作用があらわれやすい)〔8.重要な基本的注意の項参照〕。(適用上の注意)
14.1.薬剤交付時の注意14.1.1.眼科用として使用しないこと。
14.1.2.患者に化粧下、ひげそり後などに使用することのないよう注意すること。(保管上の注意)
室温保存。
作成日: 2023年07月22日 更新日: 2024年03月01日 薬理系薬学部会 ..
デキサメタゾンとして6mgを1日1回、10日間にわたり服用します。体重40kg未満の患者さまでは0.15mg/kg/日へ減量を考慮し、肥満・過体重例では用量につき個別に検討することが推奨されています。また、患者さまの状態によっては経口・経管以外に、静注が選択される場合もあります。
薬に準じて,アプレピタント(もしくはホスアプレピタント)と5-HT3 受容体拮抗薬およびデキサメタゾンを併用する。 + 背景・目的
デキサメタゾンの主な副作用としては、感染症の増悪、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、消化管穿孔、膵炎、精神変調、緑内障、血栓塞栓症などが報告されています。服用中止後に、発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、ショック等の離脱症状があらわれる場合もあるので、注意が必要です。
本剤の副作用評価可能症例は862例であり、副作用発現率は1.7%(15/862例)であった,,,,。 薬効薬理
(禁忌)
2.1.細菌皮膚感染症・真菌皮膚感染症・スピロヘータ皮膚感染症・ウイルス皮膚感染症の患者[感染症を悪化させることがある]。2.2.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.3.鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎の患者[鼓膜の再生を遅らせ、内耳に重篤な感染性疾患を起こすおそれがある]。2.4.潰瘍<ベーチェット病は除く>、第2度深在性以上の熱傷・第2度深在性以上の凍傷の患者[肉芽組織を抑制し、創傷治癒を妨げることがある]。
(重要な基本的注意)8.1.大量又は長期にわたる広範囲の使用[特に密封法(ODT)]により、副腎皮質ステロイド剤を全身的投与した場合と同様な症状があらわれることがあるので、特別な場合を除き長期大量使用や密封法(ODT)を極力避けること〔9.5妊婦、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。
8.2.本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は使用を中止すること。(特定の背景を有する患者に関する注意)
(妊婦)妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用は避けること〔8.1参照〕。
(小児等)長期・大量使用又は密封法(ODT)により発育障害をきたすおそれがある。また、おむつは密封法と同様の作用があるので注意すること〔8.1参照〕。
(高齢者)大量又は長期にわたる広範囲の使用は避けること(一般に生理機能が低下している)〔8.1参照〕。
(適用上の注意)14.1.薬剤投与時の注意
14.1.1.眼科用として使用しないこと。14.1.2.本剤は皮膚疾患治療薬であるので、化粧下、ひげそり後などに使用することのないよう注意すること。
(保管上の注意)室温保存。
抗炎症作用を有し、電解質代謝に影響を及ぼすが、デキサメタゾンは前者の作用が著しく、後者の作.
2020年11月時点のデキサメタゾンの薬価は、デカドロン®錠4mgが31.9円/錠、デカドロン®注射液6.6mg2mLが299円/瓶です。内服薬の後発医薬品はありませんが、注射液では後発医薬品として富士製薬のデキサート注射液6.6mg2mLが156円/瓶として薬価収載されています。
[PDF] デキサメタゾン COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け
デキサメタゾンによる確実な治療効果を得るためには、初回服用後から10日間にわたり継続して服用することが必要です。そのため、コンプライアンスを意識した服薬指導が重要です。
薬効薬理に関する項目 ························ 9
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎を含む)、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、虫さされ、薬疹・中毒疹、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平紅色苔癬、紅皮症、慢性円板状エリテマトーデス、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、毛孔性紅色粃糠疹、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎)、肥厚性瘢痕・ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、アミロイド苔癬、斑状アミロイドージス、天疱瘡群、家族性良性慢性天疱瘡、類天疱瘡、円形脱毛症。
(効能又は効果に関連する注意)皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合にはあらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか又はこれらとの併用を考慮すること。
同 効 薬:デキサメタゾン、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、フルオロメトロン.
途中で症状が改善しても中止せず、最後まで服用するように指導します。手引きではデキサメタゾンとして6mgの服用が推奨されており、デカドロン®錠4mgを用いる場合では1回あたり1.5錠の服用が必要となるため、1回量を確認することもポイントです。
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また、デキサメタゾンの服用により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害などの重篤な副作用があらわれる例が報告されています。これらの副作用があらわれた場合における対応について、適切な指導を行うことも求められています。