粘膜免疫での IgA 産生をマクロライド系抗生剤のクラリスロマイシンが増強す


新型インフルエンザ大流行対策の基本戦略
1.新型ウイルスの出現阻止
鳥における鳥インフルエンザの監視と制圧
ブタにおける感染伝播の監視、リスク評価
ヒトへの感染防御(教育、宣伝、生活環境改善)
2.新型ウイルスの発生局所での早期封じ込め
早期発見・早期報告(サーベイランス)
ヒト感染例の監視、ウイルス検出と性状モニター
早期封じ込め作戦(移動制限、抗ウイルス剤集中投与)
3.感染拡大の阻止・遅延と健康被害の最小化
公衆衛生的介入(検疫、隔離、行動制限など)
医学的対応 (ワクチン、抗ウイルス剤、医療提供)
4.社会機能、経済活動の維持
社会機能維持に不可欠な職種
事業継続計画(BCP)
5.パンデミック終息後の回復計画


池松秀之, 他: インフルエンザの呼吸器症状に対するクラリスロマイシンの効果--オセルタミビル治療例およびザナミビル治療例での比較検討

先ずH5N1型高病原性鳥インフルエンザについて述べると、同感染患者の病態では、重症肺炎と全身感染が特徴的で、呼吸器感染+ウイルス血症を来たし、サイトカインの"嵐"による多臓器不全であり、小児・若年成人を中心に、致死率は60%以上です。これが20%ぐらいまで低下するとパンデミックを起こす危険性を孕んでおり、このウイルスのHAタンパクの僅か数か所のアミノ酸変異で、ヒト-ヒト間の感染伝播性を獲得(ヒト型に変化)する可能性があり、鳥の間での伝播拡大が続いていて、インドネシア、中国でブタに不顕性感染がみられ、鳥型ウイルスがヒト型へ変身しつつあることに注目したい。
またPandemic (H1N1)2009は幸いにも弱毒型で人々は助かったが、わが国では国家危機対応体制の欠陥と法的基盤に立つ健康危機管理体制の欠如が露呈したため、その反省から2013年4月に新型インフルエンザ等特別措置法が制定されました。
2013年2月19日に上海市で最初の患者を確認したH7N9鳥インフルエンザウイルスのヒト感染では、その後3~4月をピークとして、揚子江河口域を中心に10の省、市に拡大し、確認患者数135名、死亡42名(致死率30%以上)、中高年層が大多数を占め、(年齢中央値59歳)、男性:女性=2.7:1、患者の76%が基礎疾患をもち、高齢者は重症化し(致死率40%)、大多数は重症肺炎、多臓器不全に陥いるが、少数の小児、若年者は軽症、北京の6歳男児が不顕性感染でありました。
中国当局の正式発表(2013年7月まで)では、患者同士の接触歴無し、家族内感染・院内感染が疑われる例もある。継続的なヒト-ヒト間の感染伝播は確認されず、市場での家禽からの感染が主な感染経路で、約30%の患者には鳥との接触歴は無かった。8万羽の家禽の調査にもかかわらず、数ヵ所の市場で40羽の鳥(ニワトリおよびハト)でウイルス陽性のみ。養鶏場では検出されず、野生のハト1羽でウイルス陽性(ウイルス陽性の鳥は不顕性感染)、ブタでの感染は確認されず、5月下旬以後、新規患者の発生はなくなりました(終息宣言)。A(H7N9)鳥インフルエンザウイルスの性状は、3種類の鳥ウイルス由来の遺伝子再集合体であり、HAとNAはユーラシア系統の鳥ウイルス由来、6内部遺伝子は中国の鳥H9N2ウイルス由来で、鳥では不顕性感染、動物でも病原性は低いと予想され、ヒトに感染し、増殖し易く変化している。A(H7N9)ウイルスの性状は、マウス、フェレット、ブタ、サルなどの哺乳動物の呼吸器に感染が成立し、鳥型ウイルスよりも病原性は高まっている。
H5N1とは異なり、ウイルス血症や全身感染は起こさない。軽度のサイトカインストームを誘起する可能性があります。ヒト-ヒト間の効率の良い感染伝播は認められていないが、動物実験の結果からは、飛沫感染伝播が起こり得る。今後効率の良いヒト-ヒト間の感染伝播を起こすように変異する可能性があります。殆どのヒトは免疫を持たないので、パンデミックが起これば大きな流行が予想される。

○(私論)「インフルエンザ(不活化)ワクチンは打ってはいけない」

理由
①インフルエンザに大人が感染しにくいのは、過去にインフルエンザに感染して交差免疫があると考えられるわけで、過去にインフルエンザワクチンを受けた効果ではない。
②全く、インフルエンザに感染したことのない人が感染すると重症化しやすいので、毎年、少しずつ感染して免疫を高めておいたほうがよい。
③ワクチンの有効期間は5ヶ月といわれている。11月にワクチン接種した人は来年3月に免疫が落ちるので、5ヶ月おきにワクチンを打ち続けなければならない。

インフルエンザ予防目的(家族がインフルエンザA発症のため)にて、リン酸オセルタミビ ..

5.「特別講演」パンデミックインフルエンザへの事前準備と緊急対応体制の再構築
国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター センター長 田代 眞人

○副作用の被害救済について

・任意接種の被害救済は、死亡した場合の遺族一時金の上限が約700万円にすぎない。(平成21年9月6日 共同通信社)
・厚生労働省は12月4日、新型インフルエンザワクチンで重い健康被害が発生した場合、医療費や遺族年金などを給付する救済制度をスタートさせた。ワクチンの副作用だけでなく、医師の技術的なミスで起きた健康被害も救済される。生計維持者が死亡した場合、遺族に年間約237万円の遺族年金(10年間)と約19万円の葬祭料、生計維持者以外の死亡では遺族に一時金約713万円と葬祭料を給付する。(平成21年12月8日 読売新聞)

報告されている。本研究では、マウスにインフルエンザA(H1N1)ウイルスを感染させてクラリスロマイシンを投

COPDや気管支喘息は呼吸器ウイルス感染により増悪を来たすが、COPDの研究(Rohde G, et al. Thorax 2003)によると増悪の際の56%でウイルスを検出し、その種類はライノウイルス(36%)、A型インフルエンザウイルス (25%)、RSウイルス (22%)であった。クラリスロマイシン投与はこれらの難治性喘息およびCOPD増悪に対し予防効果がみられ、最近の報告(Albert RK, Connett J, Bailey WC, et al. Azithromycin for prevention of exacerbations of COPD. New Engl J Med 365: 689-698, 2011. )では、アジスロマイシンで増悪抑制、増悪頻度減少、最初の増悪までの期間延長、QOL改善およびウイルスに対する抑制効果がみられた。またインフルエンザ治療においてクラリスロマイシンを上乗せすると咳や鼻水に対し効果がみられる。
クラリスロマイシンの増悪予防効果の機序として気道クリーニング作用が挙げられるが、ニュージーランドからの報告(Simpson JL, et al. Am J Respir Crit Care Med, 177: 148-155, 2008)によると難治性喘息におけるQOL改善、喀痰中のIL-8、メタロプロテイナーゼ、好中球数 好中球エラスターゼの減少作用がみられ、難治性喘息におけるマクロライドの追加投与が重要であります(クラリスロマイシン 500mg x 2 daily)。

○通常の診察の後に、インフルエンザワクチン接種を行ってもよい(平成21年10月14日 厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部)

・予防接種は、疾病又は負傷に対する治療ではなく、保険診療とは別に提供されるものである。したがって、基礎疾患を持つ者の保険診療とインフルエンザワクチン接種を同時に実施した場合でも、いわゆる混合診療にはあたらない。

研究成果の概要(和文):鳥インフルエンザウイルス感染に対する新たな治療薬としてのクラリスロマイシン

お知らせ
今年8月に一般、医療スタッフ、実地医家向け等に(株)医薬ジャーナル社から「よくわかるインフルエンザのすべて」という単行本を発刊しました。最新のH7N9情報も含め、インフルエンザについてわかりやすく系統的に解説していますので是非、日常臨床にお役立てください(詳細は をご参照ください)。

2012-2013年シーズンは培養でAH3N2(香港型)が80%(平均年齢36.0歳)、B型が19.2%(同30.3歳)、H1N1pdmが0.8%(26.4歳)の混合流行で、成人~高齢者に多く、H3N2では60歳以上が19.8%を占めました。ワクチンは9歳以下の発症率が非接種群27.3%、接種群9.8%と有効で(p
ノイラミニダーゼ(NA)阻害は平均の解熱時間(投薬開始から37.5℃未満に下がるまで)がA型では23.0時間(ペラミビル)~28.1時間(ザナミビル、ラニナミビル)と有効性が高いものの、B型は32.2~46.8時間とやや有効性が低いという結果でした。また各NA阻害薬投与後(±5日目)のウイルス残存率はH3N2で10~20%前後、B型で20~30%前後で、ウイルス残存率は特定の発熱パターンと密接な関係を示しました。
また今シーズンは高齢患者が多かったことから、1回完結型吸入薬ラニナミビルの高齢者における有用性を検討しましたが、高齢者でも大部分の症例で吸入可能であり、80歳以上でも有効率が高いことが確認されました。


クラリスロマイシン5日間併用。 症例4:Ⅳ型症例:14歳、男性

文科省は、インフルエンザの出席停止期間を学校保健安全法の施行規制で、「発症後5日」の出席停止を条件に加え、幼稚園児については、解熱後の停止期間も2日から3日に改めました。そこで、その妥当性検証するため、家庭内と学校内感染の疫学調査とウイルスの消失時間における調査を行いました。
ⅰ)家族内で乳幼児と学童が同世代に感染する割合は、21%と13%で、同世代への感染率は乳幼児の方が高くii)流行状況では、保育園で1)誰とも感染の影響を持たない単独罹患者21%、2)クラスにウイルスを持ち込んだ第1罹患者16%、3)先行の罹患者の感染初期に感染を受けた者62%、4)先行する罹患者の復帰後に感染を受けた者1%であり、小学校では1)30%、2)16%、3)48%、4)5%でした。iii)経時的なウイルス力価の検討から、薬剤投与開始からウイルス消失までの時間(中央値)は、乳幼児で4.1日、学童で2.9日及び薬剤投与開始から解熱までの時間はそれぞれ、1.7日、0.8日と差を認めましたが、解熱からウイルス消失までの時間には差を認めませんでした。
このことから、感染期間の判定は、解熱を基準にするのが妥当で、家族内で乳幼児に高い感染率がみられたものの、保育園で出席停止から復帰した児童からの感染は小学校より少なかったことより、出席停止期間を保育園児で長くする必要はないものと思われました。
さらに、薬剤別の薬剤投与開始からウイルス消失までの時間は、ラピアクタで2.2日、イナビルで3.2日、リレンザ で3.5日、タミフルで4.0日と有意差なく、薬剤投与開始から解熱までの時間はそれぞれ、0.8日、1.7日、1.1日、1.2日とラピアクタとイナビル間以外、有意差は認められなかったものの薬剤間に治療効果の違いがあることが示唆されました。発症からから解熱までの時間は治療開始の時間と薬剤に依存するため、早期の治療と薬剤の選択が出席停止期間を左右すると思われました。

翌日、医療機関を受診し、クリンダマイシン点滴、クラリスロマイシン経口投与。 ..

○他の予防接種と併施について(平成21年10月13日 厚生労働省発健1013第4号)

・生ワクチンの接種を受けた者については、接種した日から27日以上、不活化ワクチン又はトキソイドの接種を受けた者については、原則として、接種した日から6日以上の間隔を置いてから新型インフルエンザワクチンの予防接種を行う。
インフルエンザの予防接種に併せて、他の予防接種を同時に実施する場合は、医師が特に必要と認めた場合に限り行うことができる。

アジスロマイシン(250) クラリスロマイシン(200), 5, 8, 15, 28

2.インフルエンザウイルスの感染期間に関して
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班副班長 廣津伸夫

インフルエンザワクチン接種後に生じた急性汎発性発疹性膿疱症の1例

○予防接種後副反応等に関する説明をしなければならない(平成21年10月13日 厚生労働省発健1013第4号)

・予診の際は、インフルエンザワクチンの効果や限界、リスク、製品特性(製造法、アジュバントの有無、チロメサール等防腐剤の含有の有無等)、インフルエンザの予防接種後の通常起こり得る反応及びまれに生じる重い副反応並びに健康被害救済制度について、優先接種対象者又はその保護者がその内容を理解し得るよう、「インフルエンザワクチンの接種に当たって」を用いて適切な説明を行う。

ルム形成前からのクラリスロマイシンへ曝露が、インフルエンザ菌のバイオフィルムを抑.

2012-13年流行期、ウイルス分離の検体総数は1,019件でした。インフルエンザ迅速診断キットの精度は、ウイルスの変化などの影響を受けますが、ウイルス分離あるいはPCRのどちらかでウイルスが検出された症例における迅速診断キットの感度は、99.8%で、キットでA型と判定された566例の陽性試験予測率は91.0%であり、タウンズ社などのキットの有用性は今シーズンも高いと考えられました。
2012-13年度ワクチン株はA/California/7/2009(H1N1)pdm09、A/Victoria/361/2010(H3N2)、 B/Wisconsin/01/2010(B)でした。ワクチン接種後のHI抗体価40倍以上の割合は、194例においてH1N1pdm09が85.1%、H3N2が95.4%でA型の両亜型とも良好な抗体価の上昇がみられましたが、有効率は高くなかったようです。Bの接種後HI抗体価40倍以上の割合は69.6%で、例年同様に高い割合ではありませんでした。

[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠

○ワクチンの有効性について

・インフルエンザワクチンは、重症化や死亡の防止については一定の効果がありますが、感染防止に対しては効果が保証されるものではありません。
・いま日本で使われているワクチンは、以前にかかった人の免疫を高めるものであって、感染したことのないウイルスに対しては、効果が限られている(平成21年11月 日本医師会雑誌)
・インフルエンザワクチンは発症を防ぐ効果はあるだろうが、いったん発症すると、脳症の発病阻止には有効性がないということです。(平成21年11月 日本医師会雑誌)
・インフルエンザは気道から侵入するので、これを予防するためには気道で働くIgA抗体ができていることが必要ですが、現在の注射によるインフルエンザワクチンではIgA抗体はできずに、IgG抗体しかできません。IgG抗体はインフルエンザの重症化を防ぐのには役に立ちますが、気道から進入しようとするウイルスを局所で追い出すことはできないのです。(大阪大学大学院医学系研究科・免疫動態学 宮坂昌之先生 談)
・AP通信によると、ポーランドはワクチンを一切輸入していないが死亡率は他の欧州諸国と大差なかった。(平成22年2月24日 毎日新聞)
・医療従事者が再認識すべき、重要なインフルエンザワクチンの常識は、
①A香港型インフルエンザが流行した場合、高齢者にはほとんど効果がない。
②健康成人であっても、発病防止効果は40~50%でさほど高くないし、抗原変異があれば、健康成人での発病防止効果も大幅に低下する。
A香港型インフルエンザに対してワクチン効果が低い原因は、ワクチン製造の際の「鶏卵内での抗原変異」である。
鶏卵内での抗原変異は、H1N1/09にはなく、したがって鶏卵で製造したH1N1/09のワクチンは高い有効性がある。
日本では、B型インフルエンザに対するワクチン効果は低いというのが、一般的な意見である。しかし、欧米の報告を見ると、一定して50~70%の発病防止効果があり、それは小児でも高齢者でも変わらない。B型インフルエンザは、小児では入院の原因にもなり、学級閉鎖、休校を引き起こす。成人では、B型インフルエンザが流行しても、超過死亡の増加は見られず、高齢者やハイリスク患者での重要性は低い。
高齢者でのインフルエンザワクチンの重症化防止効果が強調されてきたが高齢者のワクチン接種率が高い米国、フランス、イタリア各国においても、超過死亡が低下しないことから、最近ではこのような高い重症化防止効果は疑問視されている。
菅谷憲夫 INFECTION FRONT Vol.35 P5-7 2015

副鼻腔炎のためクラリスロマイシンを服用しております。本日インフルエンザ予防接種を受けたのですが、服用をやめた方がいいのでしょうか。

インフルエンザに罹患してしまったら薬だけでは無く食事を取ることが非常に重要です。
水分だけでは重症化を防ぐことが出来ませんので解熱剤をうまく使用しましょう。

クラリスロマイシン、ルパフィン、プランルカスト、カルボシステインを飲んでおり、アラミストを点鼻して…

○インフルエンザ外来診療における感染防御の方法(平成21年8月27日 長野県衛生部)

・玄関・入口等に近いところで患者・来訪者に対してインフルエンザ様症状の有無を確認するか、注意を促すよう努める。
・可能な限り、インフルエンザ様症状の患者とその他の患者の受診待ちの区域を分けるように努める。(衝立をたてるなど)
・患者が触れた部分は、適宜、アルコール等で消毒をする。
・常時、サージカルマスクを着用していることが望ましい。
・検体を採取する場合は、眼の防護(ゴーグル等)と手袋を追加する。そして、この手技は、他の患者からなるべく離れた場所で行う。

クラリス、クラリシッドはフロモックスなどとは異なる系統の抗生物質ですが ..

さて実際インフルエンザに罹患してしまった場合、抗インフルエンザ薬を処方して貰うと思います。
薬を飲めば数日の間に解熱し快復に向かいますが、実は抗インフルエンザ薬を使用すると獲得免疫が非常に出来にくくなると言われています。
ところがクラリスロマイシンという抗生物質を一緒に内服すると抗体産生に強い味方となる事が分かってきました。
抗生物質としての効能以外の効果です。
インフルエンザは形が変わりやすいとは言え抗体が出来るメリットの方が大きいので最近はインフルエンザ薬と一緒に処方されることが増えてきています。
また既存の高脂血症治療薬の一部に脳症や脳炎の予防効果が見つかったり、栄養ドリンクに配合されているDADA(ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン)がウイルス量を減少させる可能性があることが実験で分かってきています。
実際にはその効果がまだ人で確かめられたわけではなく実験段階ですが、今後インフルエンザの治療において重要な役割を果たす可能性があります。