[PDF] 7 年間の経過で進行性の気管支拡張を呈した濾胞性細気管支炎の 1 例
気管支拡張症は、種々の原因により気管支が異常に拡張し、慢性の呼吸器症状を呈する疾患群である。原因となる疾患としては、肺結核や一般細菌やウイルスの感染、免疫不全、先天性気管支壁異常、線毛運動障害(Kartagener症候群)、膠原病などが挙げられるが、原因が特定できないことも多い。また原因ないしは併存疾患として、非結核性抗酸菌症、緑膿菌などによる慢性気道感染症、COPD、気管支喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、炎症性腸疾患、膠原病、アミロイドーシスなどが挙げられる。
経 過 :喀痰調整剤、クラリスロマイシン200mg/日、長時間作用型抗コリン薬(LAMA)、ICS/LABA にて治
症状が軽い場合は去痰薬を用いた治療を行います。
症状が進行している場合にはエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンといったマクロライド系抗菌薬の少量長期投与を行います。投与後4週頃に線毛運動機能の改善が認めはじめ、咳や痰、鼻づまりなどの症状が軽減していきます。したがって、マクロライド系抗菌薬治療が効果を示しているかの判定は、投与後4~8週間目で行い、効果があれば数ヵ月から年単位で治療を継続していきます。
主症状は咳嗽や喀痰であり、血痰や喀血、気道感染の増悪、肺炎を併発することがある。気道感染を繰り返すことで肺や気道の構造が破壊され、気管支拡張がさらに進行すると考えられている。診断には、上記の症状に加え高分解能CT(High-resolution CT, HRCT)で並走する肺動脈よりも気管支の内径が拡大しているかどうかで行う。当院では、複数台の高分解能CTを所有しており、本疾患の診断は比較的容易である。鑑別診断や進行度の評価の目的で、呼吸機能検査や血液検査、喀痰検査などを高分解能CTと併せて行うことが多い。
拡張薬の治療に加えたエリスロマイシンおよびクラリスロマイシンの内服により、症状の悪化する患者 ..
慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)に慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症が合併した病態;副鼻腔気管支症候群の部分症として発見されることもあり、耳鼻咽喉科と連携して診療にあたっている。
呼吸困難発作を伴わない湿性咳嗽が8週間以上継続し、副鼻腔炎を示唆する自覚症状、診察所見もしくは画像所見を認め、下記に述べる治療が有効であった場合に副鼻腔気管支症候群と診断していきます。
胸部や副鼻腔のレントゲン検査やCT検査が診断の参考になります。
びまん性汎細気管支炎・気管支拡張症 (臨床雑誌内科 113巻6号)
薬物療法としては根本的な治療は存在せず、去痰剤や気道分泌細胞正常化剤を対症療法として、マクロライド系抗菌薬を抗炎症薬として長期投与することが本邦では一般的である。症状が激しいときや呼吸不全を伴う急性増悪時には抗菌薬を投与する。マクロライド系抗菌薬のなかでも、エリスロマイシンまたはクラリスロマイシンを本邦では使用することが多く、クラリスロマイシンを使用する際は非結核性抗酸菌症を除外することが重要である。感染予防として肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチン接種を行うことも勧められる。血痰の症状に対しては止血剤投与、大量喀血に対しては血管塞栓術が行われることもある。その場合には放射線治療科や呼吸器外科、救急医学科、集中治療科などの医師と協力しながら集学的治療にあたっている。
副鼻腔から下りてくる鼻汁が寝ている間に気道の中に落ち込むという説と、異物を外に排出するために粘膜の表面にそなわっている線毛の機能障害が関係しているという説とがありますが、詳細はまだ分かっておりません。
COPD、または気管支拡張症や嚢胞性線維症などの他の慢性肺疾患 ..
タバコ煙により線毛機能がさらに障害されるために、喫煙されている方は禁煙が重要になります。また、風邪をきっかけに悪化することが多く、風邪予防に心がけ、風邪をひいても長引かせないことも重要です。
したがって抵抗力や免疫力を低下させないために、規則正しい生活やストレスからの解放、心身のリフレッシュに心がけてください。
具体的には、十分な睡眠時間の確保、過食や偏食を避け栄養バランスの良い食事の摂取、適度な運動などです。
気管支拡張症は慢性下気道感染症に分類される症候群的疾患であり,種々の病因で生じる。咳・喀痰症状を伴い,時に気道感染の増悪,肺炎,血痰や喀血を併発する。末梢気道病変も伴いやすく,進行例では呼吸不全を呈する。多くは感染などを契機として気道の線毛機能やクリアランスが障害された結果,慢性炎症から気道上皮傷害や気道構造の破壊が生じ,形態学的に気管支が異常に拡張する。
肺MAC症の治療レジメンは、空洞のない結節・気管支拡張型(重症は除く)、重 ..
胸部CT画像で,気管支の内径と伴走する肺動脈径の比が1を超える場合,気管支拡張あり,と判断する。加えて,咳・痰症状がある場合に気管支拡張症と診断する。喀痰微生物学的検索,血液像,血清IgG,抗CCP抗体,アスペルギルス特異IgE抗体測定などを行い,画像の経時変化も含め,原因や病態を評価する。
LAMAとLABAは気管支拡張剤といって、気管支を拡げる薬です。COPDは気管支がつぶれやすく ..
慢性的に、そして何度も繰り返し、上気道と下気道に炎症をおこす病態です。
慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎といった、気管支に慢性の炎症が続く病気は、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)といった上気道の炎症を合併しやすく、その合併した状態を副鼻腔気管支症候群と呼びます。慢性的に痰の絡んだ咳嗽(湿性咳嗽)を呈します。
百日咳菌に対する治療として、生後6カ月以上の患者にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬が用いられる。 ..
①咳・痰などの症状の軽減・QOLの改善,②急性増悪の減少,③疾患進行の抑制を,管理目標とする。その達成には薬物・非薬物療法が重要であり,特に気道クリアランス改善のための理学療法は,増悪を減らしQOLや咳嗽の改善,抗菌薬使用頻度の減少などが報告されており,積極的な介入が望まれる。インフルエンザや肺炎球菌ワクチン接種も行う。また,緑膿菌が初検出された際は,その除菌をめざすことが推奨されている(低エビデンス)。
完治には長期間の通院治療を要する、再発しやすい、気管支喘息を伴うことが多いなどの特徴があります。 ..
何かしらの原因で気管支の壁が破壊され、非可逆性の気管支の拡張が起こった状態
市販の咳止め製品にも気管支拡張成分としてdl-メチルエフェドリン塩酸塩 ..
薬物療法のうち,去痰薬は喀痰排出を促し気道クリアランスを改善,咳・痰症状を軽減するため,一手目に用いる。ムコソルバンⓇ(アンブロキソール塩酸塩)は肺サーファクタントの分泌を促し,痰を滑らせて喀出させる。細菌のバイオフィルム形成を阻害する働きもある。ムコダインⓇ(カルボシステイン)は,気管支拡張症の増悪を減らすとされる。
気管支炎の多くはウイルス感染です. ウイルス感染には抗生物質は効きません.
マクロライド少量長期療法は気管支拡張症の感染増悪を減らし,呼吸機能・QOLを改善するため,頻回増悪例では導入を考慮する。現在わが国で保険適用があるのは,クラリスロマイシンのみ(好中球性炎症性気道疾患として)であるが,Mycobacterium avium complexの耐性菌を誘導しうるため,注意する。アジスロマイシン水和物は,エリスロマイシンやロキシスロマイシンに比し有効性が高いとされる。いずれも薬剤相互作用,QT延長,耐性菌出現などに注意する。
DIクイズ3:(A)COPDへのマクロライド少量長期療法:日経DI
症例は78歳男性で慢性の湿性咳嗽を主訴に来院した.身体所見にて黄色の肥厚した爪と下腿浮腫を認めた.胸部X線上,両側下肺野にtram lineを認め,胸部CTにて両側の気管支拡張症を認めた.副鼻腔X線写真にて右上顎洞の透過性低下および粘膜肥厚を認めた.黄色爪症候群および副鼻腔気管支症候群に伴う気管支拡張症の診断にて,クラリスロマイシン400 mg/日投与が開始され,症状は徐々に改善し始めたが,症状の改善が不十分であったため,気管支鏡検査が施行された.気管支粘膜生検病理組織像では,好酸球浸潤,基底膜の肥厚,粘膜の浮腫,杯細胞の過形成などの気管支喘息様の気道組織所見が認められた.ブデソニド800 μg/日およびサルメテロール100 μg/日の追加により,咳嗽,喀痰はさらに減少した.気道可逆性は認められなかった.本症例が好酸球性気道疾患を合併した黄色爪症候群の第1例目の報告であると考えられる.
抗菌薬が用いられるときは通常、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの薬剤が投与されます。
気流閉塞が進行し,息苦しさを訴える例では,長時間作用性気管支拡張薬の併用も考慮する。吸入ステロイド薬は,喘息合併例〔および,慢性閉塞性肺疾患(COPD)で適応のある例〕以外は使用しない。急性増悪による入院リスクや,気管支拡張症の全死亡率の増加に吸入ステロイドが関与する,とする報告もある。
薬事情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介(2006年1月)
なお,アレルギー性気管支肺真菌症や肺非定型抗酸菌症等,原因疾患が明らかな場合は原因疾患に対する治療も十分行う。