[PDF] アモキシシリン水和物 小児感染症に対する最大投与量の変更
子どもの中耳炎と抗菌薬とは?薬の種類や飲み方の注意点も解説
Table: 中耳炎に用いる抗菌薬-MSDマニュアル プロフェッショナル版
2歳未満の急性中耳炎について、即時に抗菌薬治療を行うべきか、それとも経過観察をすべきか、国によって勧告は異なっている。米国ピッツバーク大学小児科部門のAlejandro Hoberman氏らは、無作為化プラセボ対照試験の結果、生後6~23ヵ月の2歳未満の急性中耳炎に対する抗菌薬アモキシシリン-クラブラン酸(商品名:オーグメンチン)の10日間投与は、症状消失期間の短縮など短期的ベネフィットをもたらすと報告した。NEJM誌2011年1月13日号掲載より。
試験は、発症48時間以内で両親によるAOM-SOS(Acute Otitis Media Severity of Symptoms)スコア評価が3以上、中耳滲出液が認められ、中等度、鼓膜隆起、耳痛を伴う腫脹があるなど厳密な診断基準で急性中耳炎と診断された生後6~23ヵ月児291例を無作為に、10日間アモキシシリン-クラブラン酸を投与される群(144例)もしくはプラセボ投与群(147例)に割り付け、症状についての反応と臨床的失敗率を評価した。
結果、初期症状の消失は、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の小児については、投与2日で35%に、4日までに61%、7日までに80%に認められた。一方プラセボ投与群では、初期症状の消失は2日で28%、4日で54%、7日で74%に認められるという結果であった(全体の比較のP=0.14)。
症状の持続的な消失も同様の傾向が認められた。アモキシシリン-クラブラン酸投与群の小児については、投与2日で20%に、4日までに41%、7日までに67%に認められる一方、プラセボ投与群では、同14%、36%、53%であった(全体の比較のP=0.04)。
治療7日間の症状スコアの平均値は、プラセボ群よりもアモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低かった(P=0.02)。
臨床的な失敗(耳鏡検査で急性感染症の徴候の持続していることを確認)率も、プラセボ群と比べてアモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低かった。具体的には、4~5日もしくはそれ以前の受診時の失敗率は4%対23%(P<0.001)、10~12日もしくはそれ以前の受診時の失敗率は16%対51%(P<0.001)であった。
有害事象については、乳様突起炎がプラセボ群で1例認められた。また、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が、下痢、おむつ皮膚炎が多くみられた。鼻咽頭の非感受性肺炎球菌の保菌率については、両群とも有意な変化は認められなかった。
これら結果を受けてHoberman氏は、「重症度に関係なく、アモキシシリン-クラブラン酸の10日間投与は、相当な短期的ベネフィットをもたらす」と結論。その上で、「このベネフィットについては、有害事象だけでなく耐性菌出現のことも重視し、治療は厳密な基準で診断された患児に限定して行うことが強調される」とまとめている。
(武藤まき:医療ライター)
子どもの中耳炎は治療をしてもすぐに治らないケースも多く、抗菌薬が途中で変わることも多々あります。
急性中耳炎児へのアモキシシリン-クラブラン酸治療は有効か―その2
この記事では、子どもの急性中耳炎に処方される抗菌薬の種類や服用の注意点について解説します。
急性中耳炎児への抗菌薬治療の有効性については、なお議論が続いている。フィンランド・トゥルク大学病院小児科部門のPaula A. Tahtinen氏らは、二重盲検無作為化試験の結果、3歳未満の急性中耳炎に対する抗菌薬アモキシシリン-クラブラン酸(商品名:オーグメンチン)投与は、プラセボと比べて有害事象は多いがベネフィットがあると報告した。NEJM誌2011年1月13日号掲載より。
試験は二重盲検無作為化試験で、(1)耳鏡検査で中耳滲出液が認められ隆起や可動性の喪失・制限など二つ以上の鼓膜所見があり、(2)鼓膜に紅斑など一つ以上の急性炎症性徴候が認められ、(3)発熱、耳痛など小児が急性症状を呈する、といった厳密な基準で急性中耳炎と診断された生後6~35ヵ月児319例を対象とした。
被験児は、無作為に、7日間アモキシシリン-クラブラン酸を投与される群(161例)もしくはプラセボ投与群(158例)に割り付けられ、治療開始から終了までの8日間における治療失敗までの期間を主要転帰に評価が行われた。治療失敗の定義は、有害事象を含む小児の病態全般と耳鏡検査下での急性中耳炎の徴候とした。
結果、治療失敗は、アモキシシリン-クラブラン酸投与群は18.6%であったが、プラセボ群は44.9%に認められた(P
全体的に、アモキシシリン-クラブラン酸により治療失敗は62%低下し(ハザード比:0.38、95%信頼区間:0.25~0.59、P<0.001)、レスキュー治療の必要性は81%低下した(6.8%対33.5%、ハザード比:0.19、95%信頼区間:0.10~0.36、P<0.001)。
鎮痛薬または解熱薬が投与されたのは、アモキシシリン-クラブラン酸群84.2%、プラセボ群85.9%であった。
有害事象は、プラセボ群よりもアモキシシリン-クラブラン酸群で有意に多く認められた(P=0.003)。下痢が、アモキシシリン-クラブラン酸群で47.8%に認められたが、プラセボ群では26.6%であった(P<0.001)。湿疹は、それぞれ8.7%、3.2%であった(P=0.04)。
これら結果を受けてTahtinen氏は、「急性中耳炎児へのアモキシシリン-クラブラン酸は、プラセボと比べて有害事象が多いがベネフィットをもたらす」と結論。抗菌薬治療は、全般的な病態と耳鏡下での徴候を改善することによって治療失敗のリスクを低下すると述べ、「さらなる試験で、不要な抗菌薬治療や耐性菌の出現を最小とする一方でベネフィットを最大限にもたらす患者を特定しなければならない」とまとめている。
(武藤まき:医療ライター)
慢性中耳炎の急性増悪は急性中耳炎とは病態が異なるので除く。 ..
中耳炎とは中耳(鼓膜の内側)に炎症が起きている状態であり、耳痛、発熱、耳漏(耳だれ)、耳閉感(耳がふさがったような感じ)、難聴などの症状を伴うことがあります。
ここでは、急性中耳炎と滲出性中耳炎の症状について解説します。
[PDF] 乳幼児急性中耳炎症例に対するアモキシシリン増量投与法の検討
上記治療は小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版にも採用されている治療選択肢であり、下の図に示すようにControl(漢方薬内服なし)とJTT(十全大補湯内服あり)を比較すると、十全大補湯を内服していたグループの方が3か月間で約1回分中耳炎になる回数が低下し、それに合わせて抗菌薬内服の回数も少なくて済みました。3か月間の十全大補湯内服で際立った副作用の報告はありませんでした。東洋医学の考え方の中に補剤というジャンルの漢方薬があり、十全大補湯も含まれます。集団保育などで頻回にウイルス感染にさらされ感冒症状反復して体力や免疫力が落ちてしまったところを「補って」底上げしてくれる漢方薬と考えてください。下の真ん中の図にあるように感冒症状が出る頻度も併せて減少しています。
急性中耳炎とは、鼓膜の奥にある中耳に炎症が起こる疾患で、多くの場合は鼻水や発熱などのかぜ症状に続いて生じます。
6カ月-2歳未満の急性中耳炎の小児291人を対象に、アモキシシリン-クラブラン酸による10日間の治療効果を無作為化プラセボ対照試験で検討。
中耳炎を短期間に繰り返す反復性中耳炎(6か月以内に3回ないし12か月以内に4回以上急性中耳炎に罹患)では中耳炎の回数を減らす効果が報告されている漢方薬を3か月間を目安に内服していただく場合があります。
これまでは処方するとしてもアモキシシリンを第一選択にしていただのですが、オーグメンチンに変更しないとモラクセラに対しては効かないですね。
滲出(しんしゅつ)性中耳炎とは、中耳に液体(貯留液)がたまることで鼓膜が振動しにくくなり、難聴や耳閉感といった症状があらわれます。とくに、幼児では、急性中耳炎の後、あるいは慢性副鼻腔炎 (蓄膿)に伴って発症し易いといわれています。(医療法人かくいわ会 岩野耳鼻咽喉科サージセンター『』』より)
小児急性中耳炎に抗菌薬併用療法を提案 | Medical Tribune
急性中耳炎を繰り返す子どもや、何カ月も治らない患者さんの場合は、中耳腔と鼻腔をつないでいる耳管の通りが悪くなっている可能性が高いと考えられます。そのため、鼓膜に穴を空けてチューブを通し、耳管の代わりにチューブを通して空気を入れ替えたり、水や膿を排出したりできるようにする手術(鼓膜換気チューブ挿入術)が有効です。この手術は外来、もしくは入院することで行なうことができます。
急性中耳炎は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の代表的な感染症である。多く ..
滲出性中耳炎の主な原因は、急性中耳炎での炎症後に中耳の圧力が低下し、滲出液がたまりやすくなるためです。実際、乳児の滲出性中耳炎のおよそ半数は、急性中耳炎の発症後に続いて起こることが知られています。
2歳以下の子供の急性中耳炎治療に対する抗菌薬の使用 – Journal Club
滲出性中耳炎は多くの場合で自然治癒するため、鼓膜に異常がなければ、発症から3ヶ月間は経過観察が推奨されています。後述する急性中耳炎の治療とは異なり、抗菌薬の使用はあまり推奨されていません。但し、中耳内の液体を出しやすくするカルボシステイン(粘液溶解薬)が使用されたり、副鼻腔炎を併発している場合にはマクロライド系の抗菌薬が使われたりすることもあります。
[PDF] 小児重症急性中耳炎症例に対するAMPC/CVA(14
集団保育を受けている子どもは、急性中耳炎の原因になる細菌にさらされる機会が多いため、発症するリスクが高くなります。また、低年齢の子どもや、授乳期間が短かった子どもは免疫力が低いので、特に注意が必要です。
家庭において、鼻咽腔洗浄(鼻うがい)を行なうと、鼻やのどにいる細菌を減らすことができるので効果的です。病院では鼻の洗浄を行ない、その後霧状になった薬剤を鼻の中に噴霧すること(ネブライザー療法) によって、細菌を減らすこともできます。
最近、日本でも接種できるようになった肺炎球菌ワクチンは、難治性の急性中耳炎を減少させることが期待されています。しかし一方で、菌に対するワクチン(Hibワクチン)は、急性中耳炎を起こすものとは違う型の菌をターゲットとしているので、中耳炎の予防効果はほとんどありません。
○軽症には抗菌薬を投与せず3日間経過観察をするが,中等症,重症ではアモキシシリン(AMPC)高用量投与が第一選択となっている.
通常はこれらの細菌によって上気道炎が起こり、咳やくしゃみといった症状に続いて中耳炎の症状が表れます。
例えば重症の急性中耳炎ではこれまでのガイドラインだと『鼓膜切開+ ..
子どもがよく中耳炎にかかる理由は、乳幼児の耳管が大人に比べて短くて水平に近い角度であり、細菌が中耳に入り込みやすいためです。
新生児期発症のRSウイルス感染症は入院を考慮すべき。 Ⅰ-6 急性中耳炎
急性中耳炎を発症してから5日ほど経つと、ほとんどの患者さんは具合の悪さを感じなくなります。一方で、鼓膜の炎症はなかなか改善しないことが特徴です。5日目の時点では、約80%もの患者さんに鼓膜の炎症が残っています。
そのため、たとえもう治ったと感じたとしても、鼓膜の症状が十分に治癒するまで通院・服薬を続けることが大切です。
大きく、急性中耳炎、慢性中耳炎、滲出性中耳炎に分かれます。 一般的に ..
鼓膜に穴が空いてしまっている場合は、入浴や水泳の後に外耳道側から細菌が侵入して中耳炎を生じることもあります。
日本耳科学会などが作成した『小児急性中耳炎診療ガイドライン』というものがあります。 ..
急性中耳炎の診断には、鼓膜の膨隆またはその他の急性炎症および中耳の滲出の徴候が必要です。鼓膜をみて判断します。
小児急性中耳炎症例におけるamoxicillin/clavulanic acid(14
この病気は小さな子どもが多く発症する病気ですが、まれに成人がかかることもあります。
乳児がかかった場合、たとえ耳の痛みがあったとしてもうまく訴えられず、泣き叫んだり、ぐずったりすることでしか症状を表現できません。そのため、乳児が発熱したり、風邪のような症状を示した場合は、急性中耳炎が隠れていないかを確認することが重要になります。
2007 年に当院を受診した3歳以上の重症急性中耳炎のうち、上咽頭よりS
中耳炎のなかでも、急性中耳炎は子ども、とくに3歳以下の乳幼児に多い病気です。実際に、1歳までに約60%、3歳までに約80%の子どもが少なくとも1回はかかるといわれています。
小児急性中耳炎診療ガイドライン 2018年版 · NS@小児科医
急性中耳炎の場合、抗菌薬を投与せずに経過観察によって自然治癒する場合が多いです。しかし、全てが自然治癒するわけではなく、抗菌薬が処方されることがあります。ここでは急性中耳炎に使われる抗菌薬について説明します。