HITMANmorita 寺沢先生のご冥福をお祈りいたします。 「COBRA OVER THE RAINBOW」は未完のままとなりました.
バトル漫画の多くは、正義や倫理を重んじて、悪側の敵と戦う作品がほとんど。そんな時代の中、漫画「コブラ」は宇宙海賊を主人公に据え、法律を歯牙にもかけないアウトローを描くSFアドベンチャーとして発進しました。
これにより『OVER THE RAINBOW』が寺沢氏自身の筆で完結することは期待できなくなってしまった。 【アニメシリーズ】
70年代に連載されていた「アストロ球団」のように、破天荒な作品も少なからずありました。ですが時代の移り変わりと共に、青春を謳歌するものから戦いに命がけで挑むものまで、王道系の少年漫画層が拡大していきました。
漫画「コブラ」の連載は、1978年に「週刊少年ジャンプ」で始まりました。当時の週刊少年ジャンプは、「キン肉マン」や「ドーベルマン刑事」などの人気漫画が活躍。また後続で「Dr.スランプ」「キャプテン翼」「キャッツ・アイ」なども登場し、大きな盛り上がりを見せます。
COBRA OVER THE RAINBOW #02 / 寺沢武一
本作の主人公は、作品名と同名のコブラ。フルネームは不明で、本名なのか偽名なのかも分かりません。左腕に銃(サイコガン)を仕込み、見事なプロポーションを持つ相棒「アーマロイド・レディ」と共に、宇宙船「タートル号」を駆り様々なお宝を華麗に奪います。
どれだけ嘆いても、時は戻りません。そして、作者が去った後でも、作品は残り続けます。個人として失ったものの大きさを痛感していますが、ひとりのライターとしてすべきことは、寺沢氏の名作とその足跡をこれからも伝えること。その想いから、寺沢氏の代表作である「コブラ」の魅力や特徴などを、今回改めて紹介します。
COBRA OVER THE RAINBOW #05 / 寺沢武一
こうした性格の主人公は、特に当時の少年漫画ではかなり珍しい部類でした。しかもコブラの場合、容姿との兼ね合いもまた特徴的です。こうしたキャラクターの場合、二枚目やイケメンでもおかしくありませんが、コブラの見た目だけを語るならばずばり「三枚目」。たれ目で団子鼻という見た目は愛嬌こそ感じますが、ハンサムとは言い難い容姿です。
筆者もいちファンとして、各作品……特に「コブラ」を愛読し、のめり込んできた読者のひとりです。脳腫瘍といった大病で筆を置く時期もありましたが、そのたびに寺沢氏は必ず舞い戻り、素晴らしい作品を提供し続けてくれました。
COBRA OVER THE RAINBOW #04 / 寺沢武一
未完のまま終わらないコブラ、というのもロマンを感じて、寺沢武一先生っぽいようにも思える。私たちが読めないだけで、コブラはいつまでも宇宙のどこかで人を食ったことを言いながら暴れてる。
特に連載第一話目のコブラは、自ら記憶を消して社会に埋没しているため、うだつの上がらないサラリーマンに他なりません。
COBRA OVER THE RAINBOW 特別掲載『コブラ復活』 無料漫画詳細
寺沢氏の漫画家歴は長く、1978年には「コブラ」で初連載を獲得。「週刊少年ジャンプ」でも掲載が1984年まで続き、以降も「スーパージャンプ」など複数の媒体で「コブラ」を描き続けました。
さようならコブラ、 どこまでも粋なヤツ! #寺沢武一先生追悼#コブラ〜COBRA OVER THE RAINBOW(未完)より.
この新エピソード「COBRA OVER THE RAINBOW」はニコニコ静画で見られますね。続きを待っていたのですが、残念です。
COBRA OVER THE RAINBOW 【第1話】 raw
寺沢は1955年3月30日生まれ、北海道旭川出身。浪人時代に投稿したマンガが入賞したことをきっかけにマンガ界入りし、1976年に上京してからは、手塚治虫に師事した。手塚プロダクションの“漫画部スタッフ”として所属中に「大地よ、蒼くなれ」で手塚賞佳作入選。1978年に週刊少年ジャンプ(集英社)でデビュー作となる「COBRA」を発表し、同年11月に連載がスタートした。また80年代初頭からパソコンでの創作に着目。1985年、8色のカラーマンガを「BAT」の巻頭で公開。パソコンの進化に合わせ、1992年「タケル」で世界初のフルCGマンガを発表。美麗なCGで世界各国から注目を集めた。近年では、2019年からKADOKAWAのWebマンガ誌・COMIC Hu(コミックヒュー)にて、完全新作エピソード「COBRA OVER THE RAINBOW」を発表していた。
COBRA OVER THE RAINBOW #03 / 寺沢武一
宇宙海賊だが群れることなく、盗みの過程で殺しもしない。法律に頓着はせず、しかし情には厚い。降りかかる火の粉は払い、大事な相手に手を出すヤツはたとえ大組織のリーダーでも悠然と立ち向かう。女に甘く、時に罠にハマることもあるが、外道なら男女問わず殺すことに躊躇いはなし。
Manga : Cobra - Over The Rainbow, Année : 2019
これは本日9月11日に、株式会社寺沢プロダクションの古瀬学代表の署名で、X(旧Twitter)のブイチギルド 【寺沢武一作品公式】のアカウントで発表されたもの。古瀬は「3度の脳腫瘍の手術を経ても、コブラその人のような生命力で生き抜いてきた寺沢武一でしたが、今回は本人も不意打ちを食らってしまったのでしょう。心筋梗塞でした。ここに生前のご厚誼に深く感謝し、謹んでお知らせいたします」とファンに伝えた。なお葬儀は家族のみで執り行われる。
[資訊] コブラ待望の新作『COBRA OVER THE RAINBOW』連載開始!!
いわゆる「正義の人」からはほど遠く、強いて言えば劇画系漫画に近い主人公像と言えるでしょう。そんなコブラを、敢えて少年漫画の主人公に据えた寺沢氏の先見の明は、コミックの発行部数5,000万部超え(全世界累計)という大成功をもって正しく証明されました。