バイオフィルム制御薬としてクラリスロマイシン(CAM)に着目し、平成 26 年 11 月より北部九州・山
薬剤情報」を確認のこと)4. 診断病日が第9病日以降(第1病日は発熱した日を指す)5. 登録時に冠動脈病変を認める6. 川崎病の再発例、治療開始時点での再燃例7. 敗血症などの活動性重症細菌感染症の合併例8. 90日以内にガンマグロブリン製剤の投与を受けた症例9. 重篤な基礎疾患(免疫不全、染色体異常、先天性心疾患、代謝異常症、膠原病など)を有する症例
川崎病におけるバイオフィルム制御薬クラリスロマイシンの臨床効果に関する検討-多施設共同ラ
クラリスロマイシンはクラリスの成分名(一般名)です。エリスロマイシンと同じマクロライド系の抗生物質です。経口投与しても胃酸の影響をほとんど受けず、体内によく吸収されるため、血中濃度より高い濃度で体液や組織内に移行します。
クラリスロマイシンには、本来の抗菌作用とは異なる作用(炎症にかかわるT細胞や好中球の働きを抑えて組織の障害を防ぐ作用、過剰な粘液分泌を抑制する作用など)があることも知られています。そのため、びまん性汎細気管支炎や慢性副鼻腔炎、滲出性中耳炎などの慢性炎症性疾患に対して、比較的少量を長期間投与することもあります。
また、緑膿菌などが作る「バイオフィルム(細菌を守る防御膜のようなもの)」を破壊する作用もあります。クラリスロマイシン自体は緑膿菌に効果がありませんが、ほかの抗菌薬と併用することで抗菌作用の増強が期待できます。
なお、クラリスロマイシンには強い苦みがあります。ドライシロップには苦みをやわらげるための製剤設計が施されていますが、酸味のあるもの(オレンジジュースやゼリーなど)で服用すると苦みが出やすいため注意が必要です。お子さまが飲むのを嫌がる場合は、バニラ味やチョコレート味のアイスクリーム、プリン、コンデンスミルク、ココアパウダー、砂糖などと混ぜると飲ませやすくなります。
マクロライド系抗菌薬(以下、ML薬)は、副作用が少ないこともあってよく使われていますが、耐性化が進んでいることや14員環系ML薬には他剤との相互作用が多いことから、安易な選択と漫然たる使用は好ましくありません。ML薬が第一選択となる場合(対象疾患、原因菌種など)をきちんと押さえておきましょう。また、他系統の抗菌薬が第一選択であっても、種々の条件でそれが使えないときに第二選択としてML薬が使える場合も押さえておきましょう。
背景:我々は川崎病の病態にバイオフィルムや自然免疫が関与していることを報告してきた。そこ
1952年に実用化された最初のML薬である14員環系のエリスロマイシン(EM)は今も使われていますが、抗菌活性や消化管吸収性がやや低く、それを改善したものとして1960年代に16員環系薬が相次いで開発されました。さらに、EMの胃酸に対する不安定性や組織移行性の低さ、抗菌活性や抗菌スペクトラムが狭いなどの弱点を克服したのが1990年代以降のニューマクロライドと称されるML薬であって、14員環系のクラリスロマイシン(CAM)、15員環系のアジスロマイシン(AZM)などがあり、今日のML薬の主流となっています。
ML薬は、グラム陽性菌では肺炎球菌、β溶血性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌(ただし、メチシリン感受性のMSSA)に作用し、グラム陰性桿菌ではインフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス、百日咳菌、一部の嫌気性菌に作用します。非定型病原体のマイコプラズマ・ニューモニエやクラミドフィラ・ニューモニエ、レジオネラ、Q熱コクシエラにも作用します。また、消化器系ではカンピロバクター、ヘリコバクターに作用し、近年増加している非結核性抗酸菌症ではCAMあるいはAZMがキードラッグとして他剤との併用で使われています。なお、ML薬の抗菌活性以外の種々の新作用については後述します。
バイオフィルム制御薬クラリスロマイシンの川崎病再燃抑制効果に関する検証的
ML薬耐性の機序は主に、ML薬の標的である23S rRNA のメチル化、排出蛋白質(efflux protein)によるML薬の排出、 ML薬分解酵素による不活化、ML薬修飾酵素による不活化、リボソームタンパク質の変異、などです。こうした機序によってML薬の耐性化は進行しており、21世紀に入ってからのわが国では市中肺炎の原因菌の8割以上が耐性を示しています。また、ML薬の種類によって抗菌スペクトラムには大きな差があり、使用に当たっては所属施設のアンチバイオグラムなどを参考にしつつ、副作用を勘案しながら使うことになります。
こうしたML薬の耐性化進行の現状に鑑みると、ML薬が第一選択となる菌種や疾患は、呼吸器領域のマイコプラズマ・ニューモニエやクラミドフィラ・ニューモニエ、消化器領域でカンピロバクター、ヘリコバクター、性感染症のクラミジア感染症、非結核性抗酸菌症、ペニシリンアレルギーのある梅毒症例ということになります。この内、ヘリコバクターではアモキシシリン(AMPC)およびプロトンポンプ阻害薬との併用が、非結核性抗酸菌症のマイコバクテリウム・アビウム コンプレックス(MAC)感染症ではエタンブトール(EB)およびリファンピシン(RFP)などとの併用が主軸になります。マイコプラズマやクラミドフィラの場合でも、細菌性病原体との混合感染が想定されるときはML薬単独ではなく、β-ラクタム系薬などとの併用が行われます。
[PDF] 談合する暗殺軍団 デンタルバイオフィルムとのバトル
ML薬が種々の生理活性を示すことは以前からよく知られています。広義のML薬には、抗真菌薬や免疫抑制薬が存在しますが、狭義のML薬にも種々の生理作用があります。消化管運動ホルモンのモチリンに類似した消化管運動機能亢進作用と共に、免疫炎症細胞(好中球、リンパ球、マクロファージ、肥満細胞 等)を介する抗炎症作用がよく知られています。後者の端緒は、1980年代に始まったびまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis;DPB)の例に対するML薬の少量長期投与ですが、DPBの疾患概念は1969年に日本で確立しています。DPBは40~50歳代に多く発症し、呼吸細気管支に広範な炎症が起こって、持続性の咳、大量の痰、息切れ/呼吸困難を生じ、最終的には緑膿菌感染に移行して、5年生存率が50%前後だった指定難病です。通常の1/2~1/3の量のML薬を長期投与することによってこれらの症候は緩やかに軽減・改善し、現在の5年生存率は90%以上になっています。緑膿菌に無効なML薬であっても奏効するのはもちろんその抗菌作用によるものではありません。ML薬の持つ毒素産生抑制作用、エラスターゼ等の酵素産生抑制作用、細菌が産生するバイオフィルム産生の抑制作用、バイオフィルムの破壊作用、菌の細胞付着抑制作用によると考えられていますが、さらに最近では、細菌のQuorum-sensing機構(細菌が自己の存在密度を感知して病原性の発現を調節するメカニズム)を抑制する作用も知られるようになり、ML薬の多彩な生理活性には興味が尽きません。
AZMは腎機能低下があっても調節は不要ですが、CAMは腎機能低下者では投与量の調節あるいは投与間隔の延長が必要です。消化管運動機能亢進作用による胃部不快感や下痢などは14員環系ML薬で高率に見られますが、15員環系や16員環系のML薬でもある程度見られます。ML薬の代謝排泄経路は主に肝・胆道系ですから、肝機能障害に注意が必要です。心電図上のQT間隔の延長も時に見られますから、十分な病歴聴取と併用薬剤のチェックが必要です。また、14員環系ML薬の代謝にはCYP3A4が関わりますから、この酵素で代謝される薬物との相互作用が生じ得ます。やはり併用薬剤の確認が必要です。
バイオフィルム効果を有することから,リファンピシンが使用される。 ..
(著者:東北文化学園大学医療福祉学部抗感染症薬開発研究部門 特任教授/公益財団法人宮城県結核予防会 理事長 渡辺 彰)
[PDF] 慢性下気道感染症に対するマクロライド療法の有効性と今後の課題
東北文化学園大学医療福祉学部抗感染症薬開発研究部門 特任教授
公益財団法人宮城県結核予防会 理事長
その後、本邦の多施設研究で、エリスロマイシンおよびクラリスロマイシンの、COPD 増悪回数および入院回数.
日本感染症学会専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会指導医。東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発寄附研究部門教授・日本感染症学会理事・日本結核病学会理事長・日本化学療法学会理事長を歴任。2013年、結核医療とインフルエンザ医療に関する貢献で第65回保健文化賞,2017年、抗インフルエンザ薬の臨床開発とインフルエンザ感染症対策の推進への貢献で日本化学療法学会の第28回志賀 潔・秦 佐八郎記念賞を受賞している。
素産生抑制作用,#細菌が産生するバイオフィルムの産生抑制作用,$バイオフィルム破壊作用,%菌 ..
◆数ある抗菌薬の中から、どんな患者に対して、どの抗菌薬をどう投与するのか、その判断の肝(きも)となる部分をわかりやすく解説!
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マクロライド系抗菌薬の緑膿菌biofilmに対する形成抑制 ..
東北文化学園大学医療福祉学部抗感染症薬開発研究部門 特任教授
公益財団法人宮城県結核予防会 理事長
渡辺 彰 著
2023年12月刊
ヒト培養上皮細胞と肺炎球菌・インフルエンザ菌の共培養モデルを用いた検討において
医療法人社団三遠メディメイツ 志都呂クリニック 院長 大石和久
浜松市感染症対策調整監/浜松医療センター感染症管理特別顧問 矢野邦夫
2023年4月刊
[PDF] ヘリコバクター・ピロリのバイオフィルム機能に関する基礎的研究
◆新型コロナ感染症のもたらすもう一つの大問題、それが完治後にも症状が長引く「コロナ後遺症」
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私は現時点では,マクロライド系の進歩により,抜歯後にはクラリスロマイシン(商品名:クラリシッド)を薦めております.
独立行政法人国立病院機構東京病院感染症科 部長 永井 英明 著
2022年4月刊