テセントリク/CBDCA/PTX/BV アテゾリズマブ、カルボプラチン、パクリタキセル、ベバシズマブ.
基本的に5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン6.6~9.9 mg を静注(8~12 mg を経口)の2 剤併用とするが,一部の抗がん薬(カルボプラチン,イホスファミド,イリノテカン,メトトレキサート等)を投与する場合にはアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与の併用が推奨され,その際にはデキサメタゾンを減量(静注: 3.3~4.95 mg,経口: 4~6 mg)する(→参照)。また,わが国では400 例を超えるオキサリプラチン投与患者に対する第III相ランダム化比較試験が行われ,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下において,アプレピタント/ホスアプレピタント群がコントロール群より全治療期間,特に遅発期の悪心・嘔吐の制御に優れることが示された。
[PDF] インターバル:21日 カルボプラチン・パクリタキセル療法
NCCN ガイドライン 2015 では,アプレピタントの代わりに多受容体作用抗精神病薬(MARTA)であるオランザピンをパロノセトロンとデキサメタゾンと3 剤併用で用いるオプションが示された。さらに同2017では,新たにアプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加えるレジメンも提示された。これらは,シスプラチンとAC療法を含む高度リスク抗がん薬投与に際し,オランザピンが,パロノセトロンとデキサメタゾン併用下においてアプレピタントと同等であることが示された第Ⅲ相ランダム化比較試験や,アプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加える有用性が示された第III相ランダム化比較試験の結果を受けている。ASCO ガイドライン2017 でもオランザピンを加えた4剤併用が推奨療法として追加された。オランザピンはわが国でも複数の臨床試験が行われた。オランザピンは公知申請により2017 年6 月から,他の制吐薬との併用において成人では5㎎ を1 日1 回経口投与(患者状態により最大1日10㎎ まで増量可能),最大6 日間を目安として先発品と一部の後発品で保険下にて使用が可能となった。本邦における推奨用量,使用方法については未だ検証段階であるため,適切な患者に慎重に投与することが望まれる。慎重投与すべき患者としては,糖尿病患者ならびに高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者であり,使用に際しては副作用の傾眠や血糖上昇に十分注意する。高齢者への投与も慎重に行うべきである。作用点が重複するドパミンD2 受容体拮抗薬ドンペリドン,メトクロプラミド,ハロペリドール,リスペリドンなどとの併用は勧められず,また,睡眠薬との併用には注意を要する。投与量に関してはランダム化第Ⅱ 相試験ではあるが,高度リスク抗がん薬投与に対し3剤併用に加えたオランザピン5 ㎎ と10 ㎎では遅発期の悪心・嘔吐の制御において同等であったとの報告もある。
NK1受容体拮抗薬であるアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与と5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾン9.9 mg 静注(12 mg 経口)の3 剤併用が推奨される。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2 剤併用に比べ,アプレピタントを加えた3 剤を併用することで制吐作用の著しい改善が示されている~。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬(→ 参照)は,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,薬剤間またその投与経路によって効果に大きな差はなく,用量や投与回数の影響を受けないことから,抗がん薬投与開始前に必要量を単回投与とする。第2 世代5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンは,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,急性嘔吐の予防効果は他薬剤と同等であるが,遅発性嘔吐の予防において優れている(→ 参照)。デキサメタゾンの用量(→ 参照)については,第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬との2 剤併用では13.2~16.5 mg を静注(16~20 mg を経口)とされてきたが,アプレピタントとの併用では,アプレピタントがCYP3A4 を阻害することによりデキサメタゾンの濃度-時間曲線下面積(area under the concentration-time curve; AUC)が増加するため,3 剤併用では9.9 mg 静注(12 mg 経口)に減量する。ただし,副腎皮質ステロイドが抗がん薬として投与されるCHOP 療法などではレジメン内のステロイドは減量してはならない。アプレピタントの投与期間は3 日間が推奨される。ホスアプレピタントはアプレピタントの水溶性を向上させたリン酸化プロドラッグであり,静脈内投与後に体内の脱リン酸化酵素によって速やかに活性本体であるアプレピタントに変換される。ホスアプレピタントはオンダンセトロン,デキサメタゾンとの3 剤併用でアプレピタントとの同等性が示されており,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下での抗がん薬投与30 分前,150 mg の単回使用が推奨される。ただし,副作用として注射部位痛/発赤/血栓性静脈炎の頻度が高いことに留意すべきである。
Weekly パクリタキセル+カルボプラチン療法 (21-28日間/1サイク
ASCO ガイドライン2017 によれば,遅発性嘔吐は,程度としては軽度なものが多いが,急性嘔吐の対処が不十分なときに起こりやすいとされる。治療としては副腎皮質ステロイド(経口デキサメタゾン)が推奨されており,メトクロプラミドや5-HT3受容体拮抗薬とも併用される。しかし,デキサメタゾンに加え5-HT3受容体拮抗薬を併用しても制吐効果の増強は得られない。さらに,急性嘔吐を認めた場合にはこれら2 剤を併用しても効果は不十分であるとされているため,抗がん薬の催吐性リスクや患者の状態に応じていずれか一方の使用にとどめるべきと思われる。
軽度リスクの経口抗がん薬に対して,MASCC/ESMO ガイドライン2016 では,制吐薬3 種類(5-HT3受容体拮抗薬,デキサメタゾン,ドパミン受容体拮抗薬)を単剤で使用することが勧められているが,最小度リスクに対する制吐薬の予防的使用は推奨されていない。一方,NCCN ガイドライン2017 では,軽度・最小度リスクの経口抗がん薬を含めて,悪心・嘔吐が生じた際にメトクロプラミド,プロクロルペラジン,5-HT3受容体拮抗薬などの連日投与(必要に応じてオランザピンやロラゼパムを併用)が推奨されている。しかし,経口抗がん薬に対する制吐薬の比較試験がないため,これらの推奨される制吐療法の信頼度は低い。ただし,これらの経口抗がん薬の有効性のエビデンスを示した比較試験のプロトコールをみると,Grade 2 の悪心・嘔吐が発現した場合にはおおむね支持療法を行うかまたは休薬し,支持療法によってコントロールできない場合には,投与量を一段階減量する,さらにGrade 3 の悪心・嘔吐が発現した場合は,投与量を一段階減量することが一般的である。したがって,がん薬物療法のエビデンスを示した臨床試験のプロトコールを参考に,日常臨床で使用されている薬剤を使用するほか,食事の工夫,カウンセリングなどの支持療法を実施し,コントロール不良の際は休薬し,抗がん薬を一段階減量して再開するという原則を守り,Grade 3 以上の悪心・嘔吐を発現させず,Grade 2の悪心・嘔吐が継続しないように内服を継続することが求められる。
アテゾリズマブ、カルボプラチン、パクリタキセル、 ベバシズマブ ..
以前よりわが国では,経口抗がん薬のうちフッ化ピリミジン薬の使用頻度が高く,大腸がんにおけるUFT/ロイコボリン,カペシタビン,胃がんにおけるS-1,肺がんにおけるUFT は比較試験により術後補助薬物療法の有効性が示されている。また,切除不能再発胃がんや大腸がんに対しても,S-1 やカペシタビン,UFT/ロイコボリン,大腸がんにおけるTAS102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)は,ガイドラインで推奨されている治療の一つである。これらの経口抗がん薬は単回での催吐性リスクは少ないが,連日内服による消化器症状がある。
本ガイドラインの無断転載を禁止いたします。
転載等の利用に際しては、 日本乳癌学会ならびに金原出版宛に許諾申請のご送付をお願いいたします。
3weeks-カルボプラチン/パクリタキセル療法の治療スケジュールを示した. ..
1サイクル:28日
投与日:ベバシズマブ day 1,15
:パクリタキセル day 1,8,15
【点滴静注】day 1,15
1.デキサメタゾン6.6 mg+ファモチジン20 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.マレイン酸クロルフェニラミン10 mg+生理食塩水50 mL 15分
3.パクリタキセル90 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
4.生理食塩水50 mL 15分
5.ベバシズマブ10 mg/kg+生理食塩水100 mL 90分(初回)
60分
(2回目以降。問題がなければ30分まで短縮可)
6.生理食塩水50 mL 15分
【点滴静注】day 8
1.デキサメタゾン6.6 mg+ファモチジン20 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.マレイン酸クロルフェニラミン10 mg+生理食塩水50 mL 15分
3.パクリタキセル90 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
4.生理食塩水50 mL 15分
アントラサイクリン+シクロホスファミド併用(AC)療法においてアプレピタントを使用しない臨床試験のエビデンスから,2 日目以降のデキサメタゾンの上乗せ効果は証明されていない。さらにステロイドの副作用を減ずる目的で,AC 療法に対する2~3 日目のステロイド使用を行わないsteroid sparing という投与法は,ステロイド通常使用に対する非劣性が海外の第III相ランダム化比較試験で示されている。本邦でも,アプレピタント(またはホスアプレピタント)を併用した第III相試験において,AC療法を含む高度リスク抗がん薬に対するsteroid sparing が可能であることが示された14)。ただし使用された5-HT3受容体拮抗薬はパロノセトロンのみであることに留意する必要はある。したがって,AC 療法においては,steroid sparing は選択肢の一つとなる(→ 参照)。
*1:化学療法はnab-パクリタキセル、パクリタキセル、もしくはゲムシタビン+カルボプラチンのいずれか.
1サイクル:ペムブロリズマブ 21または42日,パクリタキセル 28日
ペムブロリズマブ(3週毎の場合)
1サイクル:21日
投与日:day 1
【点滴静注】
1.生理食塩水50 mL 15分
2.ペムブロリズマブ200 mg+生理食塩水50 mL 30分
3.生理食塩水50 mL 15分
ペムブロリズマブ(6週毎の場合)
1サイクル:42日
投与日:day 1
【点滴静注】
1.生理食塩水50 mL 15分
2.ペムブロリズマブ400 mg+生理食塩水50 mL 30分
3.生理食塩水50 mL 15分
パクリタキセル(3週投与1週休薬)
1サイクル:28日
投与日:day 1,8,15
【点滴静注】
1.デキサメタゾン6.6 mg+ファモチジン20 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.マレイン酸クロルフェニラミン10 mg+生理食塩水50 mL 15分
3.パクリタキセル90 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
4.生理食塩水50 mL 15分
[PDF] カルボプラチン・パクリタキセル・ベバシズマブ 90分 day1
日本語
①同意取得時の年齢が満20歳以上である女性
②婦人科悪性腫瘍と診断されている症例
③化学療法未施行例
④婦人科悪性腫瘍に対するパクリタキセル・カルボプラチン療法を実施予定の症例
カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ療法は肺がん(肺癌) ..
経口抗がん薬における催吐性リスクについては,MASCC/ESMO ガイドライン2016 を参考に作成委員会内でコンセンサスを確認し, それ以外の薬剤については承認申請時のデータ,代表的な臨床試験の報告をもって に示すリスク分類とした。わが国で使用頻度の高いテガフール・ギメラシル・オテラシル(S-1)では,悪心の発現頻度は3~54%,Grade 3/4 は0.2~7.1%,嘔吐の発現頻度は14~28%,Grade 3/4 は1.2~4.3%と報告されており,軽度リスクに分類した。トリフルリジン・チピラシル(TAS-102)は悪心と嘔吐の発現頻度がそれぞれ48%,28%であることから中等度リスクに,アレクチニブは悪心の発現頻度が13%であり軽度リスクに分類した(→)。レンバチニブでは悪心の発現頻度が41%, Grade 3 が2.3%であり, 中等度リスクに分類した。
(3 週毎)ペムブロリズマブ+パクリタキセル+カルボプラチン(3 週毎)
1サイクル:28日
投与日:day 1,8,15
【点滴静注】
1.デキサメタゾン6.6 mg+ファモチジン20 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.マレイン酸クロルフェニラミン10 mg+生理食塩水50 mL 15分
3.パクリタキセル80 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
4.生理食塩水50 mL 15分
す。ペムブロリズマブは1週目に投与し、その後2週間お休みします。パクリタキセルとカルボプラチンは、週に1
1サイクル:21日
投与日:トラスツズマブ day 1
パクリタキセル day 1,8,15
サイクル数:4(トラスツズマブは1年間)
【点滴静注】
1.トラスツズマブ初回8 mg/kg,2回目以降6 mg/kg+生理食塩水250 mL 90分(初回)
30分(2回目以降)
2.デキサメタゾン6.6 mg+ファモチジン20 mg+生理食塩水50 mL 15分
3.マレイン酸クロルフェニラミン10 mg+生理食塩水50 mL 15分
4.パクリタキセル80 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
5.生理食塩水50 mL 15分
【点滴静注】day 8,15
1.デキサメタゾン6.6 mg+ファモチジン20 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.マレイン酸クロルフェニラミン10 mg+生理食塩水50 mL 15分
3.パクリタキセル80 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
4.生理食塩水50 mL 15分
[PDF] パクリタキセル:200mg/㎡ カルボプラチン:AUC(6) キイトルーダ
5-HT3受容体拮抗薬もしくはデキサメタゾンとの併用は,各単独療法と効果に差はなく,費用対効果において5-HT3受容体拮抗薬の有用性は疑わしいとされている(パロノセトロンはこの検討に含まれていない)。しかし,肝炎などでデキサメタゾンが使用できない場合は,5-HT3受容体拮抗薬を用いることもある。さらに遅発性嘔吐におけるパロノセトロン単独投与の有用性をdolasetron との比較で明らかにした第III相ランダム化比較試験の結果もあり,遅発性嘔吐に対するパロノセトロン単独使用は,現時点ではオプションの一つと考えられる(なお,ここでいう単独療法とは遅発性嘔吐に対するものであり,急性嘔吐に対する薬物療法に関しては を参照されたい)。5-HT3受容体拮抗薬と副腎皮質ステロイドは制吐効果,QOL 改善効果において同等であると報告した第III相ランダム化比較試験もある。MASCC/ESMO ガイドライン2016,ASCO ガイドライン2017 では,中等度リスク抗がん薬による遅発性嘔吐に対して,前述したパロノセトロンとデキサメタゾンの併用療法が推奨されている(参照)。
キイトルーダ+パクリタキセル+カルボプラチン併用療法 患者プロトコール ..
1サイクル:21日
投与日:day 1
サイクル数:6(トラスツズマブは1年間)
【点滴静注】
1.トラスツズマブ初回8 mg/kg,2回目以降6 mg/kg+生理食塩水250 mL 90分(初回)
30分(2回目以降)
2.5-HT3受容体拮抗型制吐薬+デキサメタゾン6.6 mg+生理食塩水50 mL 15分
3.ドセタキセル75 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
4.カルボプラチンAUC 6+生理食塩水250 mL 60分
5.生理食塩水50 mL 15分
【内服】
アプレピタント125 mg day 1(化学療法薬投与60~90分前に内服),80 mg day 2,3(午前中に内服)
デキサメタゾン錠8 mg 分2 day 1夜~day 3朝(2日間)
群馬大学医学部附属病院においてカルボプラチンとパクリタキセルの治療を
注1: 英語表記は本邦未承認。
注 2: 「 ※」は海外のガイドラインには記載がないが,わが国では使用可能な薬剤。
注3: 下線付きの薬剤は30 年以上前に開発された薬剤(アムルビシン,ネダプラチン,ピラルビシンを除く)。
毎週パクリタキセル(PTX)+カルボプラチン(CBDCA)併用療法
日本語
パクリタキセル・カルボプラチン療法におけるホスアプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンとホスアプレピタント、グラニセトロン、デキサメタゾンの制吐予防効果のランダム化比較第Ⅲ相試験
ベバシズマブ+パクリタキセル+カルボプラチン療法 (21日間/1
日本語
パクリタキセル・カルボプラチン療法におけるホスアプレピタント、パロノセトロン、デキサメタゾンとホスアプレピタント、グラニセトロン、デキサメタゾンの制吐予防効果のランダム化比較第Ⅲ相試験