抗炎症薬「デキサメタゾン」 “新型コロナ死亡率低下” 英大学 ..
英国・RECOVERY試験共同研究グループのPeter Horby氏らは 、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者のうち、侵襲的人工呼吸器または酸素吸入を使用した患者に対するデキサメタゾンの投与が28日死亡率を低下させることを明らかにした。NEJM誌オンライン版2020年7月17日号に掲載報告。なお、この論文は、7月17日に改訂された厚生労働省が発刊する「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第2.2版」の“日本国内で承認されている医薬品”のデキサメタゾン投与の参考文献である。
この研究では、2020年3月19日~6月8日の期間にCOVID-19入院患者へのデキサメタゾン投与における有用性を把握するため、非盲検試験が行われた。対象者をデキサメタゾン投与群と通常ケア群にランダムに割り当て28日死亡率を評価し、人工呼吸器管理や酸素吸入の有無によるデキサメタゾン投与の有用性を検証した。デキサメタゾン群には1日1回6 mgを最大10日間、経口または点滴静注で投与した。通常ケア群には、日常臨床でデキサメタゾンを使用している患者が8%含まれていた。薬物療法として、アジスロマイシンは両群で使用(デキサメタゾン群:24% vs.通常ケア群:25%)、そのほか通常ケア群ではヒドロキシクロロキン、ロピナビル・リトナビル、IL-6アンタゴニストなどが投与された。また、レムデシビルは2020年5月26日より使用可能となり一部の症例で投与された。
主な結果は以下のとおり。
・全参加者11,303例のうち、他の治療を受けるなどの理由で4,878例が除外された。残り6,425例をデキサメタゾン投与群2,104例(平均年齢±SD:66.9±15.4歳)と通常ケア群4,321例(平均年齢±SD:65.8±15.8歳)に割り付けた。
・6,425例の呼吸器補助別の割り付けは、侵襲的人工呼吸器管理が1,007例、酸素吸入が3,883例、呼吸器補助なしは1,535例だった。
・28日死亡率は、デキサメタゾン群が482例(22.9%)、通常ケア群は1,110例(25.7%)で、デキサメタゾン群で有意に低下した(Rate Ratio[率比]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.75〜0.93、p<0.001)。
・呼吸器補助レベルを考慮した場合、侵襲的人工呼吸器管理の患者において絶対的・相対的ベネフィットが示される傾向で、デキサメタゾン群は通常ケア群より死亡発生率が低く(29.3% vs.41.4%、率比:0.64、95%CI:0.51~0.81)、酸素吸入群においても同様だった(23.3% vs.26.2%、率比:0.82、95%CI:0.72~0.94)。しかし、呼吸器補助を受けていない患者において、デキサメタゾンの効果は明らかではなかった(17.8% vs.14.%、率比:1.19、95%CI:0.91~1.55)。
・副次評価項目として、デキサメタゾン群は通常ケア群より入院期間が短く(平均入院日数:12日 vs.13日)、28日以内の退院の可能性が高かった(率比:1.10、95%CI:1.03~1.17)。この最大因子は侵襲的人工呼吸器管理だった。
・呼吸器補助を受けていない患者において、副次評価項目である侵襲的人工呼吸器管理や死亡の複合は通常ケア群よりデキサメタゾン群で低かった(率比:0.92、95%CI:0.84~1.01)。
用の重症COVID-19肺炎の成人患者を対象とした後ろ向きコホート研究。 ..
COVID-19後の広範な肺の器質化、線維化には、COVID-19肺炎をきっかけにした重症器質化肺炎からびまん性肺胞傷害(DAD)による器質化・線維化まで広いスペクトラムの病態が含まれており、さらにCOVID-19の遷延~後遺症(long/post-COVID-19)の要素も加わり、患者毎に病態を考えながら治療を構築する必要があると言えます。過去の報告でも器質化肺炎は予後良好といったもの(Wang Y, et al. Organizing pneumonia of COVID-19: time-dependent evolution and outcome in CT findings. PloS One 2020;15:e0240347.)や、重症器質化肺炎になる例がある(István Vadász, et al. Severe organising pneumonia following COVID-19. Thorax 2021;76(2):201-204.)、剖検したらDADだった、などと一病態のみを報告した断片的なものであり、全体像をあらわした報告はみあたりません。さらに基礎疾患として間質性肺炎を合併しており間質性肺炎急性増悪の要素が加わったと思われる症例もあります。
重症患者の治療にあたる救急医療センターの松村洋輔・集中治療科部長によると、ステロイドだけを発症後すぐに使ったり、ステロイドを抗ウイルス薬より先に投与されたりした患者は、一般的な患者がたどる経過よりも急速に肺炎が悪化して搬送されてくる場合があるという。
びまん性間質性肺炎(肺線維症)(放射線肺臓炎を含む)[*静脈内 ..
の感染拡大で、通常なら入院するような肺炎患者が自宅療養せざるをえない例が続き、は5月、在宅で服用できることを診療の手引に明記。8月には、急変に備えて早めにステロイドを手渡す「事前処方」ができることも追記した。
ステロイドには過剰な免疫による臓器へのダメージを抑える作用がある。国内では「デキサメタゾン」などのステロイドの使用が認められている。肺炎が悪化し、が必要な「中等症Ⅱ」や、を着ける「重症」の患者が対象だ。
ウイルス肺炎の炎症性臓器障害を軽減する方法としていくつかの治療介入が ..
この過程で本質問でいう広範な肺の器質化、線維化が制御できず酸素化が再増悪する症例は、ステロイド再増量(mPSL 40mg 一日2回くらいまでの増量でしのげる症例が多い一方で、重症例や治療抵抗する場合にはステロイドパルス療法をこのタイミングで入れることもいといません)で回復する症例が多い印象があります。しかし、ステロイド増量にあまり反応せず広範囲な器質化・線維化を残して含気が減少したまま病状が固定化する症例も一定数存在します。前者はおそらく重症器質化肺炎でステロイドによく反応する病態が主だったと推定できます。一方で後者は約3~4週で器質化・線維化が固定化して慢性呼吸不全を残し、DADの終末像としての器質化期・線維化期をみている可能性が推定されます。これらの症例では、KL-6が上昇している症例が多い印象で、ステロイドへの反応は必ずしも良好ではないので1か月前後で一旦は深追いしないでステロイドを終了しています。
の治療に使われる「デキサメタゾン」などの薬をめぐり、使うのが早すぎると、かえって病状が悪化するとの報告が国内外から相次いでいる。自宅療養をする人が事前にもらう場合もあり、医師らは指示に基づいて適切な時期に服用するよう呼びかけている。
肺炎 (15%、 ≧Grade3 14%); 悪心 (15%、 ≧Grade3 1%); めまい (12%、 ≧Grade3 1%)
デキサメタゾンを用いた早期治療は,急性細菌性髄膜炎を有する成人の転帰を改善し,消化管出血のリスクを増大させない.
合計 301 例の患者を,157 例はデキサメタゾン治療群に,144 例はプラセボ群に無作為に割付けた.ベースライン時における両群の特性は同等であった.デキサメタゾン療法は,不良な転帰のリスクの減少と関連していた(相対リスク 0.59;95%信頼区間 0.37~0.94;P=0.03).また,デキサメタゾン療法は,死亡率の減少とも関連していた(死亡の相対リスク 0.48;95%信頼区間 0.24~0.96;P=0.04).肺炎球菌性髄膜炎患者において転帰が不良であったのは,デキサメタゾン群では 26%であったのに対し,プラセボ群では 52%であった(相対リスク 0.50;95%信頼区間 0.30~0.83;P=0.006).消化管出血は,デキサメタゾン群の 2 例およびプラセボ群の 5 例で発生した.
入手可能で、安全性プロファイルも確立されている 2)。 本来の適応症:
急性細菌性髄膜炎に罹患した成人,とくに肺炎球菌性髄膜炎を有する成人における死亡率と障害の罹患率は高い.動物での細菌性髄膜炎の研究では,コルチコステロイド剤を用いた補助療法が有益な効果を示している.
Q&A(COVID-19):デキサメタゾンを含む副腎皮質ステロイド
急性細菌性髄膜炎の成人を対象に,デキサメタゾンによる補助療法とプラセボを比較した,前向きの無作為二重盲検多施設共同試験を実施した.デキサメタゾン(10 mg)またはプラセボを抗菌剤の初回投与の 15~20 分前あるいは抗菌剤の初回投与と同時に投与し,その後 6 時間ごとに 4 日間投与した.主要転帰の指標は,8 週での Glasgow Outcome Scale であった(5 点は良好な転帰を示し,1~4 点は転帰が不良であることを示す).また,原因菌に基づいたサブグループ解析も行った.分析は intention-to-treat 解析法を用いて行った.