結核性髄膜炎を有するHIV陽性の成人患者の治療において、抗結核化学療法に補助療法としてデキサメタゾン ..


糖質コルチコイド(Glucocorticoid、グルココルチコイド)の薬は炎症や自己免疫疾患を治療するため広く処方されており、最近ではCOVID-19(SARSコロナウイルス2型感染症)の重症患者の治療にも用いられている。COVID-19は、発熱や息切れなどの症状から、多臓器不全などの重い合併症への急速に進行する。重症患者は「サイトカインストーム」(cytokine storm)を経験するが、このときにはもはやコロナウイルスに対する炎症反応を抑えることはできず、サイトカイン(炎症の分子メッセンジャー)の異常な産生がさらなる合併症を引き起こしてしまう。臨床試験では、糖質コルチコイド受容体に結合する強力な抗炎症薬であるデキサメタゾン(dexamethasone)を低用量で投与することにより、COVID-19入院患者の死亡率が低下したことが示されている。


(注4)一晩少量デキサメタゾン抑制試験では従来1~2mgのデキサメタゾンが用い ..

糖質コルチコイドは、(estrogen receptor)とともに核内受容体の仲間(ファミリー)に属している。これはリガンド結合ドメイン(ligand-binding domain)、DNA結合ドメイン(DNA-binding domain)、トランス活性化ドメイン(transactivation domain)という3つの部分で構成されている。ヒトの場合、この受容体のリガンドとして最もよくあるのがストレスホルモンの一つコルチゾール(cortisol)である。受容体がコルチゾールに結合すると、受容体の構造が変化し細胞質から核へと移動する。核内では、標的DNA配列に結合し遺伝子発現に影響を与えることができる。糖質コルチコイド受容体は活性化補助因子(coactivator)とも相互作用し、遺伝子発現のしくみをさらに調整することができる。受容体は柔軟なリンカーでつながれたいくつかのドメインで構成されているので、ドメインの構造は別々に決定された。デキサメタゾンに結合したリガンド結合ドメインの構造はPDBエントリー、DNAに結合したDNA結合ドメインの構造はPDBエントリーのものを示す。トランス活性化ドメインはここに示していない。これらのドメインがすべて一緒になり、コルチゾールの結合によって引き起こされる最初のメッセージが伝達される。

正常な低下反応の判定は、低用量の場合はコルチゾール濃度<3μg/dl、高用量の場合はコルチゾール濃度<1μg/dlで低下反応あり(正常)と判定します。ただし、クッシング症候群の最終的な判定は他の検査も踏まえて総合的に決定します。

犬のクッシング症候群 症状と原因、治療方法について解説します。

デキサメタゾンの内服の方法には様々なやり方がありますが、慶應義塾大学病院では一晩法を採用しています。一晩法では、深夜23時に低用量の場合はデカドロン®1mg(2錠)、高用量の場合は8mg(16錠)を内服していただきます。そして、翌朝の8時~9時頃に血液検査を行い、コルチゾール濃度が低下するかどうかを検査します。入院中にこの検査を行う場合は、同時に蓄尿(ちくにょう)検査(24時間に排尿した尿をすべてバッグに貯める検査)を行って、尿中のコルチゾール濃度を参考にすることもあります。

薬であるデキサメタゾンの構造は天然のコルチゾールの構造と非常によく似ている。このことにより、デキサメタゾンは糖質コルチコイド受容体にぴったりと結合し、同じように体内の炎症を解消する遺伝子発現の変化を引き起こす。この活性のため、デキサメタゾンはCOVID-19の治療において特に効果的である。なぜなら、コロナウイルスによる損傷はウイルス自体によるものだけではなく、制御できない炎症によるものでもあるからである。ところが、デキサメタゾンの抗炎症効果は、使い方や時期を誤ると害をおよぼしかねない。COVID-19の初期段階において、身体はウイルスを撃退するために免疫系を動員する必要があるので、初期の重症ではない患者にデキサメタゾンを使うと、うかつにも患者の状態を悪化させてしまうかもしれない。

ACTH刺激試験とLDDST(低用量デキサメタゾン抑制試験)の二種類があります。

副腎におけるコルチゾールは、下垂体(かすいたい)から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の指令に従って作られています。そして、ACTHとコルチゾールは早朝から午前中にかけて高値ですが、夕方から夜間は低値となり1日の中でも時間による変動(日内変動)があります。本検査でデカドロン®を内服すると、翌朝の血液中のACTH濃度は正常の場合にはほぼ完全に低下して、副腎への指令がなくなるために、副腎で作られるコルチゾール濃度も非常に低い値となります。しかし、クッシング症候群では、デカドロン®によりACTHを低下させても、副腎腫瘍からは依然としてコルチゾールが作られるために、翌朝の血中コルチゾール濃度が高い値となることで診断しています。

デキサメタゾン抑制試験は、クッシング症候群(「」の項参照)が疑われた場合に行う検査で、デキサメタゾン(商品名:デカドロン)は副腎(腎臓の上にある小さな内分泌臓器)で作られるコルチゾールの作用を強力にした内服薬です。

デキサメタゾン抑制試験:健常者では、コルチゾールの類似物であるデキサメタゾン ..

(serum albumin)は血漿の中で最も豊富に見られるタンパク質だが、デキサメタゾンも他の薬やホルモンと同様にこの血清アルブミンによって身体全体に運ばれる。ところがこのタンパク質に関する因子のため、COVID-19に関連する炎症を治療するときに安全で効果的となるようデキサメタゾンを投与するのは難しい。例えば、糖尿病の患者では、タンパク質中の重要なアミノ酸に対して糖化(glycation)の過程を経て糖分子が結合していることがよくある。こうなると薬のタンパク質への結合が妨げられことがある。イブプロフェン(ibuprofen)のような一般的鎮痛剤なども血清アルブミン上にある同じ結合部位を使い競合するので、同時に服用するとデキサメタゾンの輸送が妨げられる。さらに、肝臓病、栄養失調、高齢などのCOVID-19の危険因子に加え、ウイルス自身も患者の血清アルブミン濃度を下げることがある。この複雑な事情により、内科医が血中におけるデキサメタゾンの遊離:結合の相対比を見積もり、薬の毒性増加、副作用、薬効の低下を招く可能性について判断するのは難しくなっている。

【Introduction】
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン( hypothalamus secretes corticotrophin-releasing hormone :CRH)は視床下部から分泌され、下垂体前葉に作用し副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促進させる。ACTHは副腎皮質に作用し、これによりコルチゾールが分泌される。通常の血清コルチゾール濃度は5〜24mcg/dlであり、日内で変動した値をとる。コルチゾールはストレスホルモンとも言われるように、身体ストレスや低血圧、重症感染などにより、視床下部-下垂体-副腎系( Hypothalamic-pituitary-adrenal (HPA) )が活性化されることで、コルチゾールの分泌が増加する。これにより日内変動は消失し血清コルチゾール濃度は40-50mcg/dlと高くなる。このような期間中に何らかの原因により最適値以下のコルチゾール産生となれば、「機能的」または「相対的な」副腎機能不全がおきる。敗血症性ショックではコルチゾールの分泌不全に加えて、糖質コルチコイド受容体の減少や組織反応性の低下により、糖質コルチコイド活性が低下する「重症関連コルチコステロイド障害( Critical illness-related corticosteroid insufficiency(CIRCI))」1)を生じることがある。この際、コルチゾールが内因性に上昇するか、外因性に投与されれば、機能的な不全が是正され死亡を回避できるのではないかというのが敗血症ショックに対する理論的背景である。


うつ病の発症要因については、ストレス性の刺激がうつ病発症に深く関与す

(この情報は、平成15年5月1日に沖縄県により報道発表されたもので、厚生労働省においてもプレスへ情報提供を行っているものです。) 下記製品は現在のところ、国内において健康被害は報告されて来ていませんが、医薬品の成分が検出されており、健康被害の発生するおそれが否定できないと考えられます。(参考)

るとされている。また、ストレスは生体内でグルココルチコイドであるコルチ

(この情報は、平成15年5月1日に沖縄県により報道発表されたもので、厚生労働省においてもプレスへ情報提供を行っているものです。) 下記製品は現在のところ、国内において健康被害は報告されて来ていませんが、医薬品の成分が検出されており、健康被害の発生するおそれが否定できないと考えられます。(参考)

ストレスに関与し、過度なストレスを受けると分泌量が増加し、抗ストレスホルモン ..

デキサメタゾンが結合した構造(左、PDBエントリー)とコルチゾールが結合した構造(右、PDBエントリー)の両方についてリガンド結合ドメインの構造が得られている。これらのリガンドは構造が非常によく似ていて、糖質コルチコイド受容体の同じ窪みに結合する。リガンドは原子種ごとに色分けした球で、糖質コルチコイド受容体は緑のリボンモデルで示している。これらの構造をより詳しく見るため、図の下のボタンをクリックし対話的操作のできる図に切り替えてみて欲しい。