11.非クラミジア性非淋菌性尿道炎 ………………………………………………………………… 91
非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因となる病原体への感染を予防するには、セックス時のコンドームの使用が有効と考えられています。
また、治療中はセックスやオーラルセックスを行なわないようにしましょう。
非淋菌性尿道炎はクラミジア・トラコマティスによるクラミジア性尿道炎 ..
非クラミジア性非淋菌性尿道炎の潜伏期間(病原体に感染してから症状が出るまでの期間)は一般的に1~5週間とされます。潜伏期間後に排尿時の痛みや外尿道口(がいにょうどうこう=尿道の先端部)からの膿の分泌、尿道部の不快感などの症状が現れたら速やかに泌尿器科を受診してください。
私とマイコプラズマの出会いは10年以上も前、ある病院のNICU(新生児集中治療室)で働いていたとき、子宮内感染の強い妊婦さんから早産で生まれた赤ちゃんが、出生後2~3週間経つとひどい肺炎になってしまうことをよく経験しました。お母さんの子宮内感染の原因は何か?クラミジアでもなく淋菌でもない、何も菌が検出されない・・・でも、なぜ子宮と赤ちゃんに強い炎症が起きるのか?胸部のレントゲン写真は、マイコプラズマ肺炎の所見で、当時はマイコプラズマは、特別な検査機関でしか検査できなかったのですが、マイコプラズマとウレアプラズマが陽性になりました。
非クラミジア性非淋菌性尿道炎( NCNGU )の潜伏期間は1週間から5週間で ..
の症状があり、クラミジアも淋菌も検出されない場合や、治療を行なってもなかなか治らない場合などに検査をすることがあります。
検査ではPCR法を用います。これは初尿(出始めの尿)を使用して病原菌のDNAを増幅して調べる「核酸増幅法」の一種で、感度が非常に高い検査法です。
この時、マイコプラズマは肺炎の原因菌であるとともに、性感染症かもしれない・・・と、なんとなく感じていました。
非淋菌性非クラミジア性尿道炎について | 医師に聞けるQ&Aサイト
<非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因と思われる病原体>
ウレアプラズマ、マイコプラズマ、ブドウ球菌、腟トリコモナス原虫、ヘルペスウイルス、アデノウイルス など
マイコプラズマとウレアプラズマは、出生時または子宮内でも、母親から赤ちゃんに伝染することがあります。保菌している母親から赤ちゃんへの垂直感染率は18~55%ですが、流早産の原因や、生まれたばかりの赤ちゃんに肺炎を起こすことが分かっています。
1淋菌 2クラミジア 3非クラミジア非淋菌性(ウレアプラズマなど)4その他
非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因は様々ですが、中でも近年注目されているマイコプラズマ・ウレアプラズマの検査が検査キットで受けられます。原因菌を特定できれば、より効果的な治療が望めます。
骨盤腹膜炎の起因菌の約半数はクラミジアと淋菌ですが、M. genitaliumも起因菌になります。 Ureaplasma spp.とM. hominisは、単独では起因菌になりませんが、他の雑菌と共存して細菌性腟炎がひどくなれば骨盤腹膜炎に進展する可能性があります。
M. genitaliumの感染は、クラミジア感染の時と同じく無症状なことが多く、ひそかに進行して将来不妊症になる可能性があります。
マクロライド系(ジスロマック); ニューキノロン系(グレースビット)
非淋菌性尿道炎の起炎微生物
(感染症フォーカス1)より引用)
初診時、初尿でクラミジアと淋菌の同時検出ができる核酸増幅法(アンプリコアSTD-1)を用いて検査します。従来の検査法に比べて100~1000倍の検出感度があり、しかも、検尿であるため検査に痛みはありません。
以下、各微生物につき記載します。
淋菌
淋菌は温度変化に弱く通常の環境では生息できないためヒトからヒトへの感染でのみ増殖していきます。咽頭にも感染し淋菌性咽頭炎や、菌血症をおこす播種性淋菌感染症をおこすこともあります。1回の性行為で30%程度感染するといわれ感染力の強い菌です。潜伏期は2~7日で男性の場合、感染すると大抵の場合自覚症状(排尿痛、尿道分泌物)がありますが、女性の場合は無自覚の場合があり感染蔓延の一因と考えられます。男性で淋菌性尿道炎を治療せずに放置すると、尿道狭窄を起こしたり、菌が尿道を上行し精巣上体炎を起こすことがあります。この場合、陰嚢腫大、発熱など重篤な状態となります。また、淋菌感染症の20~30%にクラミジア感染を合併しているといわれ、淋菌とクラミジアは同時に検査することが望まれます。淋菌は薬剤耐性がすすんでおり、現在行える治療はセフトリアキソン(ロセフィン)1g点滴静注、1回のみです。これで100%といえる治療効果があるので必ずしも治療後の除菌判定は不要となっています2)。欧米で行われているアジスロマイシン(ジスロマック)2g単回内服治療は本邦では治験が行われておらず使用できません3)。
パートナーの治療も必須です。
クラミジア
クラミジアのなかのクラミジア トラコマチス(以下クラミジア)は主に泌尿・生殖器に感染しその患者数は世界的にもすべての性感染症のうちで最も多いといわれています。クラミジアは尿道炎、精巣上体炎を起こしますが、前立腺炎への関与は不明です。女性は無症状のことが多く、蔓延の原因と考えられます。しかし、近年、男性でも無症候感染が多いことがわかってきました。20歳代の無症状のひとの4~5%からクラミジアが検出されたという報告もあります2)。潜伏期は1~3週間で症状出現が穏やかで、かつ軽症のため感染機会が不明な場合もあります。
治療はアジスロマイシン(ジスロマック)1g単回内服治療で完治します。
パートナーの治療も必須です2)。
非淋菌性・非クラミジア性
図に示す如くマイコプラズマやウレアプラズマが原因となります。これらの菌の検出は保険適応がなく、また検尿所見も軽度から正常なので、これらの菌であろうと想定してクラミジアの治療と同じアジスロマイシン(ジスロマック)1g単回内服治療を投与します2)。
性器ヘルペス
初感染と再燃(回帰発症)があります。ヘルペスの問題点は無症状でかつ肉眼的に病変なしのひとでも感染源となることであります。また、コンドームの使用でも100%感染予防ができないという怖さがあります。初感染の場合、2~10日間の潜伏期ののちに外性器にかゆみや痛みをともなった小水疱が出現します。診断は血清診断は不可能で、病原診断は感度が悪く、肉眼的診断に頼ることが多いようです。治療はバラシクロビル(バルトレックス)500mg、1日2回、5~10日間の投与ですが、いったんは軽快しても再燃を阻止する薬はなく、のちに再燃する可能性があります。
再燃の場合も同様の治療をしますがなるべく早期に治療開始したほうがよく、病変が出現する前の局所の違和感、ぴりぴり感のときに内服開始したほうが効果が良いようです2)。
1年に6回以上再燃するするひとはバラシクロビル(バルトレックス)500mg、1日1回、長期(1年間)投与法がありますが、3割負担のかたで1ヶ月の薬価が5500円程度もかかりますので主治医とよく相談してください。
尖圭コンジローマ
ヒト乳頭腫ウイルスによる感染症で、症状出現までに3週~8ヶ月(平均2.8ヶ月)を要するので感染機会が不明なこともあるようです。外陰部や肛囲などに乳頭状腫瘍が多発します。一般に自覚症状はありませんが、ときに疼痛や掻痒感があります。診断は肉眼的診断です。癌が否定できないときに組織検査をします。
治療は液体窒素による凍結療法を1~2週ごとに繰り返すか、イミキモドクリーム(ベルセナクリーム)の外用、局所麻酔下での電気焼却、レーザー蒸散などがありますが、いずれも根治が期待できるものではなく、視診上、完全に治癒しても3ヶ月以内に25%は再発するそうです。
淋菌性、クラミジア性、非淋菌性非クラミジア性の尿道炎は患者さんの希望があれば当科でも加療しますが、性器ヘルペス、尖圭コンジローマは長期にわたる治療が必要なので皮膚科(当院では月曜、金曜)、泌尿器科で治療をうけてもらいたいと思います。
また、これらの性行為感染症はHIV検査を患者さんにすすめる疾患です。
平成23年5月2日
治療はアジスロマイシン(ジスロマック)1g単回内服治療で完治します。 ..
マイコプラズマは、細胞壁がないため、すべてのβ-ラクタム(ペニシリン、セファロスポリン、カラバペネム、モノバクタム)とグリコペプチド系抗生剤は効きません。
マクロライドおよびリンコサミドに対する耐性は種類によって異なり、M. hominisはエリスロマイシンとマクロライドに対して耐性がありますが、クリンダマイシンに対しては感受性があります。 テトラサイクリンはM. hominisに効きますが、ウレアプラズマには約10%程度耐性があり、これらの株はエリスロマイシンにも交差耐性を示します。
キノロン(オフロキサシンとシプロフロキサシン)に対しては、ウレアプラズマ属で50%以上の耐性が報告されており、2005年から耐性率が増加しています。
M. genitaliumはテトラサイクリンに対して比較的耐性がありますが、マクロライドおよびフルオロキノロンはよく効きます。フルオロキノロン(特に第4世代のモキシフロキサシン)は、M. genitaliumに対して非常に効きますが、耐性は増加傾向にあります。
こういった薬剤耐性はDNAの突然変異によっておこります。
M. hominisとUreaplasma spp.は通常テトラサイクリンがよく効きますが、M. genitaliumにはあまり効きません。 M. genitalium感染の場合、第一選択薬はアジスロマイシンが推奨されています。M. genitaliumに対するアジスロマイシンの治癒率は85〜95%と言われています。
M. genitalium感染症の治療は、アジスロマイシン500 mgを初回に投与し、その後250 mgを4日間の長期に服用する方法で治癒率が高いです。第2選択薬は、モキシフロキサシンですが、M. genitaliumに対するモキシフロキサシンの除去率は、2010年以降100%から89%に低下しています。
さらに、日本とオーストラリアでは、多剤耐性M. genitalium感染症(テトラサイクリン、マクロライド、およびフルオロキノロンに耐性)が頻繁に報告されており、将来的にこの多剤耐性菌に対する治療の選択肢がなくなってしまうことが心配されています。
M. hominisまたはUreaplasma spp.の治療は、妊娠していなければ、ドキシサイクリン(100 mgを1日2回経口投与)が第一選択です。
治療期間は、下部尿路感染症の場合は、通常7日間ですが、骨盤腹膜炎などのより広範な感染症の場合は、14日間投与します。
妊娠中の女性と幼児の場合M. hominisに対してはクリンダマイシン、Ureaplasma spp.に対してはマクロライド(アジスロマイシン)が適切です。
この方法は、ドキシサイクリンを服用できない方にも適応できます。
実臨床では、ドキシサイクリンによる治療が失敗することが時々あります。
その場合、耐性のために治療が失敗したのか、あるいは、ピンポン感染による再感染なのかを見きわめる必要があります。治療開始して少なくとも2週間以降で治癒判定の再検査をする必要があります。
さらに、軽微な症状の方では、症状が軽快すると服薬を自己中断し再発する例もみられるため、薬剤耐性化を防ぐためにも服薬指導をしっかり行うことが重要です。
私は、下の表4のように、マイコプラズマ・ウレアプラズマの菌種によって処方薬を使い分ける必要があると感じています。
[PDF] JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2018―男性尿道炎とその関連疾患―
典型的なクラミジア性尿道炎の場合、尿道から透明〜若干白く濁った程度の水っぽい分泌物が見られます。淋病と比べると「鼻水」のようにさらさらしていることから漿液性分泌物と呼んでいます。自覚症状はほとんど気づかない程度の軽いものから、おしっこするのが怖いほど痛くてたまらないものまで様々です。感染して数日で自覚症状が消えてしまうこともあるので、感染したことに気づかない人(無症候性感染者)が半数以上に及びます。
クラミジアは、大変ユニークな細菌学的特性を持つために、分離培養が困難で、一般的な細菌と異なり感受性試験等で薬剤の効果を評価することは難しいため、しばしば見逃されたり不十分な治療によって感染が遷延化して重大な健康被害をもたらす一因になっています。
ジスロマックは、2000mgの超大量を1回だけ飲めば約90%の感染が治るとされており、海外ではほとんどの症例で使われており,日本でもよく使われるようになりました。ただし、ジスロマックは連鎖球菌や腸球菌、マイコプラズマの一部に耐性を持つものがあり、年々その割合が増えていて、海外ではジスロマック一辺倒の治療を見直す意見も出てきています。当院ではもちろんジスロマックやグレースビットによる治療をしています。
これまでの推奨治療は、アジスロマイシン(ジスロマック)、1g単回内服です。
かつてはしっかり2週間薬を飲まないと治療できなかったのですが、今ではとてもよく効く抗生物質があるので陽性反応が出た場合は、この抗生物質を一日内服して、再検査をして完治していれば治療は終了です。しかしながら中にはピンポン感染をしたり、薬が効きにくいなど何らかの原因により、約1割弱の確率で一日の内服では治らない場合があります。その場合には、別の抗生物質を2週間服用して頂く場合があります。これでほぼすべての方が完治致します。淋病やそのほかの性病との重複感染も非常に多いことが特徴です。自覚症状が消えてもきちんと治療をして、再検査を受けて細菌が消滅したことを確認しないと安心できません。また、性器と咽頭の同時感染により性器の細菌が消滅していても、咽頭に細菌が残っているとパートナーとの間でピンポン感染を繰り返すことがあります。保険の制約(咽頭クラミジア検査と性器クラミジア検査の同日算定ができない)によりこのようなケースが見られますので、できれば日を分けてでも、両方の検査を受けるた方が良いでしょう。
クラミジア性尿道炎に対する臨床研究では,上記 3 剤はすべて有効であった。耐性株の報告はある
おしっこが痛い、ムズムズする、ウミが出る、などの症状が出たときは尿道炎かもしれません。男性尿道炎には淋菌性、クラミジア性、非淋菌非クラミジア性があります。
グレースビット クラミジアが確定した場合には ジスロマックの1回投与
なお、淋病感染者の20~30%はクラミジアも合併しているので、クラミジア検査も同時に行うようにすることが一般的です。また、実際には咽頭感染も多いのですが、保険の制約(咽頭と性器の同時検査は保険適用外)により見逃されることが多いので注意が必要です。性器・咽頭の同時感染では、性器の淋菌が消滅しても咽頭の淋菌は残存してしまい、結果的に咽頭より再びパートナーにうつしてしまい、また本人にピンポン感染を繰り返すということもありえます。