⑤CPAPにより、バイアグラやシアリスの様なPDE5阻害薬の効果がUPします。
以下は、まだ現在進行形で結論は出ていない研究途中君のお話。老齢マウスの海馬で、RNA-seqを用いた遺伝子の網羅的解析を行ったところ、記憶形成に関連する遺伝子群は有意に低下(64%)し、また、体内時計の同調に関連する遺伝子群も有意に低下(77%)していたそうです。老齢マウスのmelatonin pathwayも有意に低下していたそうです。メラトニン自体は加齢と共に低下します。細胞達のメラトニンを受容する力も劣ってきます。つまり、シグナルも、シグナルを受け取る側もと、ダブルの低下で、体中のメラトニン受容体で障害が起こり、これが引いては死亡率に関与していると考えられています。
【図2】 若齢と老齢マウスの海馬におけるMEL、AFMK、AMK量の比較
ところが、です。学習の15分後にAMK(1.0 or 10mg/Kg BW)を注射すると、長期記憶が回復するんです。とは言え、進行が進んだアルツハイマー病の様に、ニューロンが脱落しまってからでは流石に無理と言うものですが、軽度認知症とか、そのちょっと手前の段階なら、AMKは記憶形成の回復に役立ちます。
加齢に伴い海馬のAMKは激減します。2ヶ月齢の若いネズミさんは、前述の通り、3回学習を繰り返せばしっかり覚えているのですが…、年を取った老齢のネズミさんは覚えてないんです。記憶形成能が明らかに低下してしまっています。
【図3】 老齢マウスの海馬における記憶関連遺伝子の網羅的解析
右図は、若齢(2ヶ月齢)と老齢(22ヶ月齢)マウスの海馬に於けるメラトニン、AFMK、AMKの夫々の濃度を調べた結果です。
現段階では、低用量のメラトニンの濃度でも、十分な記憶促進効果が得られるとされています。
[PDF] メラトニンの代謝産物 AMKが長期記憶を促進する
今度は、ネズミさんにAMKを何時注射するのが、一番学習効率が上がるのかを調べてみました。結果は、学習直後、若しくは15分後にAMKを投与した群が、最も効果のあるタイミングでした。つまり、AMKは、短期記憶から長期記憶への誘導を促進しています。
メラトニンは、下図の如く、脳内で速やかに、つまり5分以内にAMKに代謝されます。
実験から海馬(記憶に重要な脳の部位)において、メラトニンは AMK に変換されること、またこの AMK は、形成
この忘れっぽいネズミさんに、1回の学習の後にAMK0.1mgを注射して、24時間後の行動を観察すると、なんと、記憶が形成されました。同様の学習効果は、メラトニンなら5mg、AFMKなら1mg必要だったそうです。
メラトニンのもう一つの作用に、抗酸化作用が挙げられます。1994年に発表された論文ですから、ものすごく昔から、メラトニンがフリーラジカルや活性酸素を消去するので、マウスは長生きする事が分かっています。2021年の論文でも、マウスのみならず私達人間も、メラトニン含有量の多い野菜や穀物を摂取していると、死亡率が有意に下がる事が報告されています。
高橋良幸・岡田 隆 「メラトニンが海馬長期増強に及ぼす影響とその作用機序の検討」
本研究は、モデル生物線虫におけるメラトニンの存在とその生理的役割について、初めて明らかにした。本研究により構築された新規アッセイ系を分子遺伝学的解析の容易な線虫に用いることで、メラトニンの新規作用メカニズムの理解に大きく寄与し、哺乳類を含めたメラトニンの根源的な生体機能を明らかにするための強力なツールとなりうる。さらに、本研究では線虫のrep-1遺伝子を同定し、生体内におけるREP-1の意義について新たな知見をもたらした。このことはREPの機能のみならず、Rabの局在化機構や機能制御の解明にも新たな一面を与えると考えている。また、脈絡膜欠落症のようなREPの機能異常疾患の原因とその治療法、特に新規医薬品の開発に向けた重要な知見となりうると期待される。以上のように、本研究はメラトニンの生理学的作用や生物学的意義について、またRabやREPの機能解明に重要な貢献をするものであり、博士(薬学)の授与に値すると判断した。
上質の睡眠が、上質の人生を創り出すといっても過言ではありません。 眠りのホルモン「メラトニン」の時間帯別分泌量
睡眠の質を高める為に、クリニックでは、メラトニンやテストステロン等のホルモン補充療法を行う事があります。特に、メラトニンは、単なる寝るホルモンから、記憶力の向上や認知症の予防、抗糖化作用等、新たな知見が目白押しのホルモンです。今月号では、最近のトピックスを睡眠の質の改善という観点からまとめてみました。
海馬のMRI脳画像診断 · ADHDの正しい診断・治療 · 大人の発達障害 · 子どもの発達障害 ..
遺伝子クローニングとREP-1の機能解析の過程において、rep-1変異体の表現型がRabGGTaseの機能阻害による表現型異常より明らかに弱かつた。そこで線虫REPタンパク質の生体内機能をより詳細に理解するために、rep-1変異体におけるRab経路に関与する表現型異常の観察や、様々なRabタンパク質の局在異常の解析を行つた。その結果、シナプス小胞の放出に関与する2つのRabのうち、RAB-27の機能とシナプスへの局在にはREP-1が必要であるが、RAB-3の機能と局在にはREP-1は必須ではないことを明らかにした。
高橋良幸・岡田 隆 「ラット海馬長期増強の大きさを調節するメラトニン・一酸化窒素カスケード」
近頃、年のせいか、とんと物忘れが激しくなり、「あの…あれ…その…」と名詞が出て来ない(笑)。「寝ている間に、記憶が固定される」。うちのにゃん連中も真っ青の寝る子は育つ状態のHISAKOに、果たしてメラトニン(の代謝産物AMK)は朗報となるか? 先ずは、読んでおくんなまし。
メラトニンは、哺乳類において松果体から周期的に分泌され、生体リズム調節作用を ..
さらに、受容体の実体やメラトニンシグナルで機能する他の因子を同定するために、メラトニン感受性異常を示す突然変異体の単離を試みた。およそ100,000ゲノムのスクリーニングを行った結果、5系統の新規突然変異体の単離に成功した。原因遺伝子解析の結果、そのうち2系統の原因遺伝子をrep-1(Rabエスコート蛋白をコード)とeat-2(ニコチン性アセチルコリン受容体をコード)と同定した。このことは、メラトニンがシナプス伝達に関与することを示すとともに、本研究により確立したアッセイ系が効果的に機能し、メラトニンシグナルに関わる新規分子の解明に有効であることを示唆する。
そこで、C57BL/6J マウスの海馬 CA1 錐体細胞を用いて、
哺乳類のMT1受容体は、Gタンパク質共役受容体に属している。そのため、線虫の筋収縮を制御するメラトニンシグナルもGタンパク質と共役した受容体を介していると推測した。そこで様々なGタンパク質突然変異体を用いてMT1経路を介したメラトニンの感受性を検討した。その結果、Gqaをコードするegl-30の機能亢進及びgpa-7の機能欠損変異体がメラトニンに対する感受性異常を示したため、線虫のMT1様受容体はEGL-30及びGPA-7を介したシグナル伝達により制御されていると推測された。
メラトニンは,習慣的就床時間の1〜2時間前から分泌され始め,深部体温が最低に ..
夜の睡眠時に、記憶が固定される…。そのメカニズムにメラトニン()が関与しているのではないか? 昔から言われてはいますが、未だにその機序の全容は解明されてはいませんが、どうもメラトニンの代謝産物であるAMK
てメラトニンの低下が認められる2)。メラトニンの欠乏により,睡眠障害が生じる ..
メラトニン処理等により様々な表現型異常が観察されたことから、線虫体内のメラトニンの有無について検討を行つた。HPLC及びLC/MS/MSを用いて線虫抽出物を分析したところ、両者においてメラトニンに対応するピークが得られたことから、線虫体内にはメラトニンが存在することが分かつた。メラトニンが合成される細胞群を明らかにするため、その合成酵素の発現パターンの解析を試みた。ゲノム情報からY74CgA,3遺伝子が線虫におけるメラトニン合成酵素HIOMTに相当すると考えられたため、この遺伝子の発現解析を行つた。その結果、この遺伝子はPVT神経と子宮に発現していた。従って、少なくともこれらの細胞においてはメラトニンが生合成され、観察された行動や恒常性に関与する細胞群に作用すると推測された。
現在発売されているのは、2つの物質に関係するお薬です。 メラトニン受容 ..
下の表(Rahman et al, 2010)を見てもらうと明らかなように、メラトニンレベルの低い人は睡眠の質が粗悪!なんですね。
この海馬の大きさと睡眠時間には関係があるようで、「5~6時間しか寝ない子ども ..
第二のパラメーターとして、MT3受容体アンタゴニストに線虫を長期間暴露することで、体長の増加抑制、腸内顆粒の減少等の影響が顕れることを見出した。他のアンタゴニストの作用ではこの現象は観察されない。従って、線虫にはMT3様受容体も存在し、内在性のメラトニンがMT3様受容体を介して様々な生命現象に恒常的に関わっていることが示唆された。
夜と昼を区別するために大切な「メラトニン」というホルモンがあります。
しかしながら、一度の強光照射で、メラトニンの分泌のリズムはかなり乱れます。夜の10時くらいから朝の6時くらいまでの一般的な夜勤()を例に取ってみましょう。事務所の蛍光灯(106lx)の下で(9100lx)
気管支ぜんそく患者は夜間に症状が悪化しやすく、薬が効きにくいとされるが、それらにはホルモンのメラトニン ..
まず、メラトニンが線虫に及ぼす作用を明らかにするため、外来的なメラトニン処理が線虫の発生・行動等に及ぼす変化を詳細に観察した。その結果、アッセイ系として利用可能な2つのパラメーターを明らかにした。第一に、メラトニン処理により線虫体壁筋の収縮頻度(body bend回数)が一過的に減少することを明らかにした。作用発現時間の経過から、メラトニンは遺伝子発現を介さずに直接神経の活動を抑制すると推測された。また、体壁筋の収縮頻度以外の様々な筋収縮や行動には影響が見られなかつたことから、メラトニンの非特異的な作用ではないことを確認した。次に、線虫の体壁筋収縮の制御に関与するメラトニン受容体を解析した。MT2、MT3特異的アンタゴニストはメラトニンの作用を抑制せず、MT1/2受容体アンタゴニストのみがメラトニンの作用を抑制した。従つて、線虫にはMT1様受容体が存在し、メラトニンはこの受容体を介して体壁筋の収縮頻度を調節することが示唆された。